オヒルギ(雄漂木)

Bruguiera gymnorhiza


オヒルギ

  • 科名・属名 : ヒルギ科 オヒルギ属

  • 特徴 :
     高さ8〜25mの常緑高木。
     幹は真っ直ぐ伸び、支柱根は少なくて短い。地中の根から多くの湾曲した膝のような呼吸根(膝根)を水面上に出す。
     葉は対生、葉身は長楕円形で長さ6〜12cm、幅3.5〜5cm。先は尖り、基部は広いくさび形、全縁。質は厚い革質で光沢があり、無毛。葉柄は長さ3〜5cm。
     花は葉腋1個下向きにつき、径約3cm。花弁は8〜12個、濃い朱色〜淡黄白色で先端は2深裂し、裂片は倒披針形で各裂片の先には2〜3本の突起がつき、裂片の付け根にも1本の突起がつき、縁には細かい毛があり、長さ13〜15mm。雄しべは16〜24個、長さ8〜11mm。萼は濃い朱色で萼筒は子房を包み、先端は8〜12裂、裂片は櫛の歯状に細かく裂ける。質は肉質。
     果実は下垂し、卵形〜円錐形、長さ2〜3cm。種子(胎生種子)は樹上で発芽し、胚軸は根棒状で長さ15〜20cm、径1.5〜2cm。
     別名 アカバナヒルギ

  • 分布・生育地 :
     九州(奄美大島以南)〜沖縄 (国外:台湾、中国(南部)、東南アジア、アフリカ、オーストラリア、太平洋諸島)
     海岸や河口の湿地、泥地

  • 花期 :   5〜6月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体 2007年3月19日  沖縄県西表島
     (上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中1・花1 2012年9月1日    同  上
     中2・花2 2019年5月11日    同  上
     中3・果実 2007年3月19日    同  上 
     中4・膝根1 2018年11月3日    同  上
     左下・膝根 2012年9月1日    同  上
     右上・葉(表) 2018年11月3日    同  上
     右下・葉(裏)    同  上

  • 撮影記 :
     日本のマングローブ林を形成する7種の樹の1種で、よくメヒルギなどともに生え、マングローブ林を代表する樹である。
     メヒルギとの違いは、葉先が尖ること、萼筒が赤くて果実期にも反り返らないこと、花弁の色が朱赤色〜淡黄白色になること、膝のような呼吸根を出すことなどが異なり、見慣れればすぐに区別できる。
     西表島などでは川を遡行するツアーがあり、川の両側に茂るマングローブ林の間を観光船が行くが、マングローブ林に海水が入り込み、潮が根元を洗う様子はとても日本の景色とは思えない。
     ただ、泥中に伸びた根は浅く、観光船の起こす波で根元が洗われて倒木となるのを見ると悲しい思いにさせられる。

  • 葉(表)

    葉(裏)

    同じ科の仲間の花
花1

花2

果実

膝根1

膝根2