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- 科名・属名 : カバノキ科 クマシデ属
注.APG分類では、学名(C. cordata var. cordata)
- 特徴 :
高さ10〜15mの落葉高木。
幹は径20cmになり、樹皮は帯黄赤褐色〜淡緑灰褐色で、初めは滑らかで、老木になると菱形で鱗状の浅い裂け目ができる。若枝は淡褐色、小枝は帯黄灰色、平滑で光沢があり、灰白色の皮目を散生する。
葉は互生、葉身は卵状楕円形〜卵形、長さ7〜14cm、幅4〜7cm。先は急鋭尖頭でやや尾状に尖り、基部は心形、縁には不揃いな重鋸歯がある。質は洋紙質、側脈は15〜23対で、裏面に著しく突出し、裏面脈上には長い伏毛がある。葉柄は長さ1〜2cm、細かい軟毛があるか無毛。
花は雌雄同株、葉の展開とほぼ同時に開花する。雄花序は前年枝から垂れ下がり、緑黄色で長さ約5cm、苞は卵状楕円形、縁には斜上する長毛が目立つ。雄花は苞の下に1個ずつつき、雄しべは4〜8個。雌花序は新枝の先や短枝の脇から垂れ下がり、苞は卵状披針形、長い縁毛があり、基部には対になった斜広卵形の小苞があり、その基部に1個ずつ雌花がつく。小苞は花後大きくなり、葉状の果苞となる。花被は子房に合着し、広鐘形、縁は4浅裂する。
果実(果穂)は狭長楕円形で葉状の果苞が密生し、長さ4〜15cm、幅2〜4cm、淡緑褐色で、長さ2〜4cmの柄があり垂れ下がり、8〜10月に熟す。果胞は長楕円形、長さ1.8〜2.5cm、縁には不揃いの鋭鋸歯がある。果実(堅果)は果胞の基部につき、やや扁平な卵状楕円形、暗褐色で、長さ約5mm、無毛で表面には10〜12個の縦の筋があり、先端に花被と柱頭が残存する。
- 分布・生育地 :
北海道〜九州 (国外:朝鮮、中国、ウスリー) 山地の沢沿いなど湿気のある場所
- 花期 : 4〜5月
- 撮影月日・場所 :
上・全体1 2025年4月24日 東京都高尾山 中1・全体2、中2・雄花序 同 上 (上、中1は拡大写真あり、写真をクリック) 中3・雄花 2025年5月11日 東京都奥多摩1 中4・果実1(果穂) 2018年5月28日 同 上2 (中4は拡大写真あり、写真をクリック) 左下・果穂2 同 上 右上・葉(表) 2025年5月11日 同 上1 左中・葉(裏) 同 上 右下・幹 2025年4月24日 東京都高尾山
- 撮影記 :
山地の沢沿いに多い高木で、花時はさほど目立たないが、果時にはクマシデによく似た果実(果穂)を多数ぶら下げているのをよく見かける。
クマシデと混生していることも多いが、本種の方が葉の幅がやや広くて側脈の数が多く、葉の基部が心形になる点が異なるが、クマシデの葉の基部も浅い心形になるものがあり、いつも同定には苦労させられる。



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