シナノオトギリ(信濃弟切)

Hypericum kamtschaticum var. senanense


シナノオトギリ1

  • 科名・属名 : オトギリソウ科 オトギリソウ属
     注.APG分類では、学名(H. senanense subsp. senanense)

  • 特徴 :
     草丈10〜30(-40)cmの多年草。
     茎は叢生し、基部が倒伏して先端が直立し、分枝しないか上部で数回分枝し、2本の稜があるかまたは円柱形になる。
     葉は対生、葉身は広楕円形〜卵状楕円形〜狭楕円形、長さ1.5〜4cm、幅0.7〜2.6cm。先は円頭、基部は円形〜心形で半分茎を抱き、全縁。質は薄く、葉身の内側には多少明点があり、稀に黒点も混じるか全く腺点を欠き、縁にはやや密に黒点があつまり、時に明点が混じる。
     花は茎の先に1〜17個が疎らにまたは集散状につき、径2〜3cm。花柄は長さ3〜9mm。花弁は5個、鮮黄色でやや紅色のぼかしがあり、楕円形〜倒卵形、長さ8〜14mm、幅3〜7mm、円頭で内側に黒線があり、時に明点もあり、辺縁には少数の黒点があるか、全く腺点がない。雄しべは30〜60個、3束にまとまり、長さ5〜11mm、葯に黒点がある。花柱は3個、長さ5〜6mm。萼片は5個、長楕円形で不等長、長さ3〜7mm、内側に黒腺と黒点があり、時に明腺が混じり、辺縁には黒点があるか時に明点がある。
     果実(刮ハ)は卵状〜卵状円筒形〜楕円体、長さ8〜10mm。種子は暗褐色、長さ0.6〜0.8mm。

  • 分布・生育地 :
     本州(東北地方南部〜中部地方) (国外:日本固有)
     亜高山〜高山帯の草地、砂礫地

  • 花期 :   7〜8月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2005年9月3日  山梨県北岳
     中上・全体2 2005年7月23日  長野県八ケ岳
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中中・花 2007年8月17日  山梨県北岳
     中下・萼 2018年7月19日  長野県栂池高原
     左下・蕾 2023年7月4日  山梨県八ヶ岳
     右上・葉(表) 2018年7月19日  長野県栂池高原
     右下・葉(裏) 2023年7月4日  山梨県八ヶ岳

  • 撮影記 :
     真夏の大樺沢は、沢を埋めていた残雪もすっかり消え、厳しい日差しが照りつける。2000mを越える高さがあるとはいえ急な登りは汗だくで、足元を見つめながら一歩一歩進むしかない。
     足元には可憐な高山の花が現れるが、今日の行程は長く先を急がざるを得ない。やっと一息入れた場所にこの花が咲いていて、休憩がてらカメラを取り出した。
     イワオトギリによく似ているが、この花は葉の黒点が縁にまとまってあることが特徴で、葉をよく確認して撮影した。

  • 葉(表)

    葉(裏)

    同じ科の仲間の花
シナノオトギリ2

花

萼

蕾