- 科名・属名 ： スミレ科 スミレ属
- 特徴 ：
草丈１０〜１５ｃｍの多年草。
無茎種。地下茎は太く、水平に伸び、節間は短い。
葉は互生し、小数で、花時は巻いていてほとんど展開せず、展開後の葉身は心形、長さ幅とも４〜８（〜１２）ｃｍ。先は鋭尖形で鈍頭、基部は深い心形、縁には円い鋸歯がある。質はやや厚く、表面は鮮緑色、裏面はやや紫色を帯びるものが多く、両面に微毛があるが裏面の方が多い。葉柄は花時で３〜８ｃｍ、果時には１０〜２０ｃｍになる。托葉は離生し、披針形、膜質で褐色、長さ７〜１０ｍｍ。
花は紅紫色〜淡紅紫色で濃淡があり、径２〜２．５ｃｍと大きい。花柄は長さ１０〜１５ｃｍ。花弁は長さ１５〜２０ｍｍ、幅０．６〜１ｃｍ、先端は円く、側弁の基部は無毛か疎らに毛がある。距は長さ３〜４ｍｍと短く、嚢状。花柱は突出形（カマキリの頭形）、上部の両翼が左右に短く張り出し、柱頭が短く突き出る。萼片は長楕円状披針形、褐色、付属体は鈍四角形〜波状、長さ１．５〜２ｍｍ、全縁か浅く２裂する。
果実（刮ﾊ）は卵状、長さ１〜１．５ｃｍ、先は尖り、紅紫色の斑点が多い。
花の白いものがあり、
●シロバナアケボノスミレ(f. actiflora)（左下の写真）という。 - 分布・生育地 ：
北海道（南部）、本州（太平洋側）〜九州 （国外：朝鮮、中国（東北部)）
山地の草原、林下や林縁の向陽地 - 花期 ： ３〜５月
- 撮影月日・場所 ：
上・全体１ 1999年4月21日 東京都奥多摩
中上・全体２ 2008年4月6日 長崎県対馬
(上、中上は拡大写真あり、写真をクリック）
中下・花 1978年4月23日 埼玉県秩父
左下・ｼﾛｱｹﾎﾞﾉ 2007年5月27日 長野県小県郡
(左下は詳細写真あり、写真をクリック）
右下・葉 2015年4月22日 群馬県甘楽郡 - 撮影記 ：
鮮やかな紅紫色で円くてふっくらした花弁は、何ともいえない優しさと美しさがある。
花の咲き始めの時期では、まだ葉が展開しきれず右下の写真のように丸まっているため、花の美しさが一層目立つ。
和名はこの花の色を曙の空の色に例えてつけられている。
関東地方では珍しいスミレではなく、明るい草原や林縁などでよく見られる。
２００６年、長野県の草原でシロバナアケボノスミレに出会った。
ここには、紅花と同じくらいの白花が生えていたが、花の時期には少し遅かったため翌年も訪れると、多くの紅白の花が混生していて素晴らしい光景だった。
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