スミレサイシン(菫細辛)

Viola vaginata


スミレサイシン1

  • 科名・属名 : スミレ科 スミレ属
     注.APG分類では、学名(V. vaginata var. vaginata)

  • 特徴 :
     草丈5〜15cmの多年草。
     無茎種で、地下茎は太く、水平に伸び、節間は短い。
     葉は少数、開花後に展開し、円心形で長さ4〜9cm、果時には長さ15cmにも伸びる。先は急に尖り、基部は深い心形、縁には円い鋸歯がある。質はやや厚く、表面は鮮緑色でほとんど無毛。葉柄は長さ6〜8cm、果時には長さ18(〜25)cmになる。托葉は披針形、膜質で褐色、長さ6〜8mm、葉柄から離生してつく。
     花は淡紫色で、径2〜2.5cm。花柄は長さ10〜15cm。花弁は長さ1.5〜2cm、先端は円く、側弁の基部は無毛、唇弁には紫色の筋がある。距は短く、長さ4〜5mm、嚢状。花柱は突出形(カマキリの頭形)、上部の両翼が短く左右に張り出し、柱頭が上方に短く突き出る。
     品種として次のようなものが知られている。
     花が白いものは、
     シロバナスミレサイシン(白花菫細辛)(f. albifora)(左下の写真)という。
     いくらか淡紫色を帯びる準白色花は、
     ウスジロスミレサイシン(薄白菫細辛)(f. albenscens)(右下の写真)という。

  • 分布・生育地 :
     北海道(南部)、本州(日本海側) (国外:日本固有)
     多雪地の山地の樹林下

  • 花期 :   4〜5月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 1986年5月18日  新潟県佐渡ヶ島
     中上・全体2 2012年5月17日  山形県羽黒山
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中中・花1 1991年5月12日  北海道札幌市
     中下・花 2012年5月17日  山形県羽黒山
     左下・シロバナ 1986年5月18日  新潟県佐渡ヶ島
     右上・葉 1991年5月12日  北海道札幌市
     右下・ウスジロ 2002年4月13日  福井県三方郡(左下、右下は拡大写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     多雪地を代表するスミレで、主に日本海側に分布している。
     新潟県の佐渡島に5月半ばに訪れた際、平野部はすっかり初夏の装いに衣替わりしていたが、山はまだ残雪が残りカタクリが咲き、この花も湿った林縁で咲いていた。
     太い地下茎があり、これを摺りおろして食用にする地域があり、トロロスミレと呼ばれるようだ。

  • 葉

    ウスジロスミレサイシン

    同じ科の仲間の花
スミレサイシン2

花



シロバナスミレサイシン