コヤスノキ(子安の木)

Pittosporum illicioides


コヤスノキ1


  • 科名・属名 : トベラ科 トベラ属

  • 特徴 :
     高さ2〜5mの常緑低木。
     枝はよく分枝し、無毛。樹皮は縦に小さく割れて落ちる。
     葉はまばらに互生するが、若枝ではしばしば輪生状につき、葉身は長楕円形〜倒披針形、長さ5〜14cm、幅1.7〜4.5cm。先は鋭尖形、基部は鋭形で次第に細まって柄に流れ、縁は全縁で縁がわずかに波打つ。質は洋紙質、表面は光沢があり、両面無毛。葉柄は長さ4〜15mm。
     花は雌雄異株、花序は集散花序となるが、普通花序柄はほとんど伸びず、散形状に2〜13個つく。花柄は長さ15〜30mm。花弁は5個で離生し、淡黄色、倒披針状線形〜広線形で、長さ7〜10mm、基部で合着し筒状となり、上部は反り返る。雄花の雄しべは5個、長さ5〜6cm、花糸もほぼ同長で、無毛、葯は狭卵形で、長さ1.2〜1.5mm、雌しべは1個、雄しべとほぼ同長で、普通不稔。雌花は、雄しべが5個、長さ5〜6mm、葯は普通花粉はないが、時に花粉がある葯が生じることがある。雌しべは長さ5〜6mm、子房は狭倒卵形、微毛が散生し、花柱は長さ2〜3mm、柱頭は頭状。
     果実(刮ハ)は球形、径1〜1.2cm、10〜11月に黒熟して3片に胞背裂開し、果皮は薄い木質で、厚さ約5mm。種子は腎形、赤橙色で、長さ3〜5mm。

  • 分布・生育地 :
     本州(兵庫県西部、岡山県南東部) (国外:中国、台湾)
     照葉樹林や2次林、社寺林
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  • 花期 :  5〜6月

  • 撮影月日・場所 :
    上・全体1 2015年5月16日  兵庫県たつの市
    中上・全体2、以下全て    同  上
    (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     兵庫の花仲間と岡山・兵庫県の県境の山でナギヒロハテンナンショウを撮影し、兵庫に戻る途中この木も花の時期であると立ち寄ることにした。
     この花の自生地は兵庫・岡山県の一部に限られた希少種であるが、自生地に着くと林縁に咲く満開の花を撮影することができた。
     海岸に多いトベラの仲間ということであるが、ここは内陸部であまりその感じはしなかった。帰って調べると果実の様子はそっくりで、同属であることが納得できた。
     この日はなかなか出会えない絶滅危惧種に2種も会うことができ、満足の1日となった。

  • 葉1(輪生状)

    葉2

    同じ科の仲間の花
コヤスノキ2

雄花序

雄花

雌花