フガクヤシャビシャク(富嶽夜叉柄杓)

Ribes fujisanense


フガクヤシャビシャク1


  • 科名・属名 : ユキノシタ科 スグリ属
     注.APG分類ではスグリ科(GROSSULARIACEAE)

  • 特徴 :
     高さ(長さ)30〜50(-100)cmの落葉小低木。
     根は太く、幹はよく分枝して樹上を這い、棘がある。
     葉は互生、枝先に3〜5個集まり、葉身は楕円形〜五角状円形、径3〜5cm。先は円形、基部は心形、縁は深く湾入し裂片の先に欠刻状の鋸歯がある。質は薄く、両面に毛が生える。葉柄は長さ1.5〜3cm、長い腺毛がある。
     花は短枝の先に1〜2個つく。花柄は長さ約1cm、中ほどか上部に関節がある。花弁状の萼片は5個、筒部は浅い皿形、長さ約2mm、裂片は倒卵形でやや平開し、淡緑白色で先端が赤味を帯び、長さ5〜8mm、幅約4mm。花弁は萼筒の上縁につき、へら形で直立し、長さ2.5〜4mmで萼片の半分程度の長さ。雄しべは5個、花糸は針形で直立し、長さ約2.5mm、葯は長さ約1mm。雌しべは1個、子房は多細胞の腺毛が密生する。
     果実(液果)は球形〜卵球形、長さ7〜12mm、径7〜10mm、全面に針状の毛が密生し、緑色に熟す。種子は楕円形、長さ約2mm、黒褐色。
     2022年に発表された新種で、ヤシャビシャクによく似ているが、@花弁状の萼片の先が赤味を帯びる A枝に棘が出る B葉柄に長い腺毛がある C葉の湾入が深い、という点が異なるとされる。

  • 分布・生育地 :
     本州(富士山周辺) (国外:日本固有)
     冷温帯林の老木の樹上

  • 花期 :  5〜6月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2023年5月20日  静岡県富士山
     中上・全体2、以下全て    同  上
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     濃いガスに時々小雨が混じるやや天候の悪い中、富士山麓の道もない林下を進む。
     曇りなら花の撮影には最適だが、雨が降ると花や葉に雨粒がつき、鮮やかな写真にはなり難い、ピーカンよりましだが。
     鹿の食害でテンナンショウ類ぐらいしか見られない林下をしばらく歩くと、太い老木の樹幹のやや高い所に垂れ下がっているこの花が見つかった。
     少し雨粒が落ちる状況ではカメラを上に向けのは厳しい、やっと比較的低い場所に咲き花を見つけ撮影した。
     雨に濡れていたが、花弁の先が赤味を帯びる、葉柄に長い腺毛が密生するなどの特徴はしっかり確認できた。

  • 葉

    葉柄

    枝の棘

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フガクヤシャビシャク2

フガクヤシャビシャク3

花序

花