ハタベカンガレイ(端辺寒枯藺)

Scirpus gemmifer


ハタベカンガレイ1

  • 科名・属名 : カヤツリグサ科 ホタルイ属
     注.APG分類では、ホソガタホタルイ属(Schoenoplectiella)。他にフトイ属(Schoenopectus)の考え方もある。

  • 特徴 :
     草丈50〜120mの多年草。
     根茎は短く、茎は株立ちになり、鋭三角形で柔らかく平滑。花序が熟する頃には株元より倒れ、接地した小穂から芽を出す。
     葉は根生し、葉鞘は筒状で葉身は無い。
     花序は側生状、無柄の小穂が数個集まって頭状になる。小穂は卵状楕円形〜長楕円形、長さ1〜2cm、幅4〜6mm。苞は直立するか果期に基部で折れ長さ3〜10cm。
     小穂の鱗片は卵形、淡褐色〜淡緑色、しばしば辺縁部が赤褐色を帯び、長さ4〜5mm。
     葯は長さ約1.3mm。柱頭は2岐するものが多いが、3岐するものも混じる。
     果実は広倒卵形、横断面はレンズ形〜3稜形。刺針状花被片は6個、果実と同長かやや長く、下向きにざらつく。

  • 分布・生育地 :
     本州〜九州 (国外:日本固有?)
     川岸の湿地

  • 果(花)期 :  7〜9月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2015年7月25日  徳島県海部郡
     中・全体2、下・小穂    同  上
     (上、中は拡大写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     カンガレイによく似た花で、「神奈川県植物誌(2001)」によれば、カンガレイの柱頭が3岐なのの対し、本種では2岐が多く3岐が混じる点が異なるとされている。
     しかし、「神奈川県植物誌」でもまだこの種の分類については未定な所があるとし、最近改訂された「日本の野生植物1」(平凡社)では分けられていないなど、位置づけははっきりしない。
     ここでは「神奈川県植物誌」の別種と言う考え方に依ったが、それによると少し水が浸かったような所に生え、やや冷涼な気候を好むとされている。
     写真は徳島県の山間部、山沿いに流れる水路の中に生えていたもので、2〜3日前の大雨による増水で水に浸かったらしく、小穂にゴミの引っかかっているものが多かった。

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ハタベカンガレイ2

小穂