クロタマガヤツリ(黒珠蚊帳吊)

Fuirena ciliaris


クロタマガヤツリ1

  • 科名・属名 :
     カヤツリグサ科 クロタマガヤツリ属

  • 特徴 :
     草丈10〜50cmの1年草。
     地下茎はなく、茎は叢生し、2〜4個の節があり、3稜形で葉とともに軟毛がある。
     葉は線形で扁平、長さ7〜15cm、幅3〜7cm。先は急に尖り、縁に開出毛がある。鞘の長さは1.5〜3cm。
     分花序は1〜2個、3〜10個の小穂が集まって球状花序となる。
     小穂は長楕円形、長さ4〜7mm、幅約3mmで黒灰緑色。鱗片は楕円形、長さ1.5mm、薄い膜質で長さ約1mmの芒がある。
     果実は倒卵形で鋭三稜形、倒卵形で長さ約0.7mm、淡褐色で平滑。花被片は6個、3個は針状で短いか時になく、他の3個は平板状果実より少し長く、細い柄がある。

  • 分布・生育地 :
     本州(関東、中国地方)〜沖縄 (国外:朝鮮(南部)、中国、台湾、東南アジア〜インド)
     湿地

  • 果期 :   8〜10月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2013年10月21日  高知県幡多郡
     中上・全体2、中下・花序1、左下・花序2    同  上
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     下右・葉 2015年10月13日  宮崎県児湯郡

  • 撮影記 :
     海岸近くの水田、稲刈りは大分前に終わったのか、切株の間にはいろいろな植物が茂っていた。
     しばらく水田の間を歩くと、突然黄緑色の草叢がやや黒味を帯びていた。
     見ると、黒味がかった緑色の小穂を多数つけたこの植物が密生していた。
     カヤツリグサ科の植物は見た目パッとせず、イネ科とともに敬遠していたが、この花の美しさには感動した。
     それが、カヤツリグサ科にも目を向けさせるきっかけとなった。
     和名の由来は、小穂が黒くて円いことから「黒珠蚊帳吊」とつけられている。
     南西諸島にはよく似たヒロハノクロタマガヤツリがあり、草丈は50〜100cmと大きく、茎は単生で5稜があり、無毛などの点が異なっている。

  • 葉

    同じ科の仲間の花
クロタマガヤツリ2

花序1

花序2