タマツリスゲ(珠吊(釣)菅)

Carex filipes


タマツリスゲ1

  • 科名・属名 :
     カヤツリグサ科 スゲ属(タマツリスゲ節)
     注.APG分類では、学名(C. filipes var. filipes)

  • 特徴 :
     草丈30〜50cmの多年草。
     根茎は匐枝を出さずに短く、葉を叢生する。
     全体に柔らかく平滑で、やや粉緑色を帯び、基部の鞘は葉身がなく、赤紫色を帯びる。
     葉は幅2〜6mm。
     小穂は互いに離れてつき、頂小穂は雄性、淡色、線形で長さ0.5〜1.5cm、短い柄がある。側小穂は1〜3個つき、雌性、短円柱形で長さ1〜2.5cm、疎らに数個の果胞をつけ、下方のものには長い柄があり下垂する。苞は葉状で長い鞘がある。
     雌鱗片は卵形で先は尖り、一部赤色を帯びる。果胞は卵形、淡緑色で長さ5〜7mm、鱗片の長さの2倍、細脈があり、無毛、上方は急に長い嘴となり、口部は斜めに切れる。柱頭は3岐。

  • 分布・生育地 :
     本州〜九州 (国外:日本固有)
     丘陵や山地の樹林内、やや湿った草地

  • 果(花)期 :   5〜6月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2017年5月30日  長野県佐久市
     中1・全体2、以下基部の鞘を除き、全て    同  上
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     右下・基部の鞘 2016年5月25日  山梨県富士山麓

  • 撮影記 :
     新緑の葉を透した柔らかい日差しが、沢沿いの樹林下を明るく照らしていた。
     ツルカメバソウの撮影に訪れた長野県の沢沿い、最初に目に付いたのは目的の花ではなくこのスゲだった。
     同行の花仲間がツルカメバソウを撮影している間、一生懸命このスゲの撮影をしたが、スゲに興味を示す仲間は誰もいなかった。
     この仲間は数種類知られているが、匐枝を出さず叢生すること、雄小穂の柄が短いこと、基部の鞘が赤紫色を帯びること、葉が粉緑色を帯び、幅が2〜6mm程度とやや狭いことが同定の基準となる。
     和名のタマツリ(珠吊)は、果胞を珠に見立てたものである。

  • 基部の鞘

    同じ科の仲間の花
タマツリスゲ2

雄雌小穂

雌小穂

果胞