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- 科名・属名 : ラン科 カヤラン属
- 特徴 :
草丈5〜8cmの常緑の多年草。着生。
葉は2列に互生、3〜7個つき、葉身は線形〜長楕円形、長さ2〜5cm、幅約8mm。先は漸尖頭頭、縁には微鋸歯がある。質は革質で光沢があり。
花は側生する総状花序となって数個つき、1個ずつ咲く。花冠は白色で半開し、径約7mm。唇弁には黄褐色の斑点が入る。萼片と側花弁はほぼ円形で椀状。唇弁は嚢状、基部で3裂し、中央に白粉に覆われた2列の肉質隆起があり、これれの前端に黄色の毛の塊がある。花は1日で萎れる。
果実は細い筒形で、長さ3〜4cm。
和名の由来は、長い果実が密生する葉の陰に隠れているように見えることからつけられている。
- 分布・生育地 :
沖縄(西表島) (国外:台湾、フィリピン) 川沿いの常緑広葉樹林の枝上
- 花期 : 3〜5月
- 撮影月日・場所 :
上・全体1 2007年2月18日 沖縄県西表島 中上・全体2、以下全て 同 上 (上は拡大写真あり、写真をクリック)
- 撮影記 :
ハルザキヤツシロランを撮り終え、戻り始めると「変わったランの花があるよ」の声が聞こえた。
急いで近づくと、何と、何と「ハガクレナガミラン」ではないか。日本の野生ランを300種以上撮影している花仲間が十数年来探し求めている花で、お互いに南西諸島に出かけるたびに探していた花だった。
沢の反対側に立っていた木が台風で倒れ、偶然目の届く場所で咲いていたのだ。まさかの出会いに舞い上がるほどうれしかった。
分岐した細い枝の所々に十数株がつき、先端にペン先のような小さな蕾をつけた花茎を多数伸ばしていた。そのうちの1輪が、花弁を開いていた。すでに実になり、和名の通りナガミ(長実)をつけているものもあった。
こんなに沢山の蕾が開花したら素晴らしいだろうと、急遽1ヵ月後再訪した。
ところが、思ったより早く咲いたらしく、全てが終わっていた。
この花開花後1日で萎れてしまい、自生地でも枯枝になると1年も持たずに株が絶えてしまうらしい。もう一度お目にかかるのは難しいかもしれない。
ランの仲間は絶滅危惧種とされているものが多いが、絶滅危惧TA(CR)に指定されている種のなかでも、花に出会えるのはごく難しい種の1つではないかと思う。
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