イナバラン(稲葉蘭)

Odontochilus inabae


イナバラン1

  • 科名・属名 : ラン科 イナバラン属
     注.APGV分類では、学名(O. tashiroi)

  • 特徴 :
     草丈10〜20cmの多年草。
     茎は基部が匍匐し、節から紐状の根を出し、上部は直立〜斜上する。下部は無毛で上部は有毛。
     葉は互生して下部に数個つき、葉身は卵状長楕円形で、長さ4〜5cm、幅約2cm。先は鋭頭、基部は円形、縁はやや波打つ。網目はなく、裏面は緑色。葉柄は長さ約2cm、基部は鞘になる。上部には鱗片葉が数個つく。
     花は茎頂に総状花序となり、疎らに2〜3個つける。花弁は白色でやや紅色を帯び、背萼片は卵形、長さ5〜6mm、やや尾状で鈍頭。側萼片は長楕円形、萼片の外面には腺状の毛がある。側花弁は披針形で背萼片に密着する。唇弁は長さ約2cm、基部は袋状に膨れ、爪部は樋状となって縁が櫛状に分裂し、舷部の先端はV字形に2裂する。蕊柱は短く、葯は卵形。苞は卵状披針形、鋭尖頭、長さ約1cmで有毛。
     別名 オオギミラン、オキナワカモメラン

  • 分布・生育地 :
     沖縄 (国外:台湾、ベトナム)
     亜熱帯の常緑広葉樹林下

  • 花期 :   6〜7月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2008年6月21日  沖縄県
     中1・全体2〜中3・花序    同  上
     (上、中1、中2は拡大写真あり、写真をクリック)
     中4・花1 2013年6月26日    同  上
     左下・花2(側面) 2008年6月21日    同  上
     右上・葉1    同  上
     右中・葉2 2020年6月14日    同  上
     右下・茎上部    同  上

  • 撮影記 :
     この属は日本で3種知られているが、どちらも自生地は少ないうえにはっきりせず、まず見ることはないと思っていた。
     しかし、想い続けると(もちろん、努力は前提であるが)願いは叶うもの。まず福岡県でハツシマランに出会うことができ、さらに沖縄県でこの花の情報を手に入れることが出来た。
     なかなか花芽をつけないこの花が、今年は蕾を持っているとの話。何が何でもと、花期を推測して6月半ば出かけたが、まだ蕾の状態でもう1〜2週間位かかりそうであった。
     2週間後に再訪の予定を組んだところ、「咲いている」との急な連絡。あわてて計画を変更し、2週続けて沖縄へ出かけることになった。
     現地に着いてみると、硬かった蕾が綺麗に開き、花を咲かせている。純白の花は美しいが、どっちを向いているのか?行儀の悪い咲き方だ。また、基部から中央にある櫛状の髭のような突起が面白い。
     もう会うことはないかもと思い、目一杯撮影した。

  • 葉1

    葉2

    茎上部

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イナバラン2

イナバラン3

花序

花1

花2(側面)