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- 科名・属名 : ラン科 シュンラン属
- 特徴 :
草丈20〜60cmの多年草。
葉は束生し、葉身は広線形、長さ20〜70cm、幅0.6〜1.7cm。革質で光沢があり、縁は滑らか。
花は茎頂に総状の5〜10個、やや疎らに緑色〜紫色の花をつける。花茎には鞘状葉が疎らにつく。苞は膜質で線形、長さ8〜30mm。萼片は広線形でよく開き、鋭尖頭、長さ3〜4cm、幅3.5〜4.5cmm。側花弁は披針状線形で、長さ2〜3cm、蕊柱を取り囲むように伸びる。唇弁は舌状で肉質、長さ2〜2.7cm、淡黄色で紫紅色の斑紋が入り、中央に2本のひだ状隆起がある。蕊柱は湾曲し、長さ約8mm。葯はやや角ばった半球形。
- 分布・生育地 :
本州(東海地方以西)〜沖縄 (国外:韓国(済州島)、中国(南部)、台湾 常緑広葉樹林下にごく稀
- 花期 : 11〜1月
- 撮影月日・場所 :
上・全体1 2005年11月20日 高知県 中上・全体2 1992年11月23日 徳島県 (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック) 中下・花序 2005年11月20日 高知県 左下・花 1992年11月23日 徳島県 右下・葉 2013年5月1日 鹿児島県
- 撮影記 :
どの植物写真の図鑑を見ても植栽の花ばかり、自生の花の撮影は無理かと思っていた。
ある日、徳島の知人から「今咲いている」との電話があり、週末すぐに転勤先の北海道から飛行機でかけつけた。
そこは、集落のすぐ近くの谷の斜面、とても残っていそうもない場所であったため、逆に生き延びたのだろう。
晩秋の雰囲気漂う林の下、紫色を帯びた花は凛とした気品があり、かすかに香りがあった。
花の少ない冬に咲き、色も形も日本人好みの花とあって一時期大ブームになった。
色変わりには数十万円の値段が付くとあって、自生地では土をふるいに掛けて根こそぎ採取されたそうで、花を咲かせるような大株を見ることは非常に難しくなっている。
もう一度野生のカンランに会いたいと思っていた矢先、2005年、高知の知人から連絡があり、あの感動が再び味わえると、すぐに高知に飛んだ。
今度は、青緑色系の花茎が80cm近い立派な株で、落ち着いて撮影するとともに、その素晴らしさにしばし酔いしれた。
残念ながら、この株は標本にするとかで、撮影後掘り取られてしまった。
自生地では葉がよく似たシュンランも見られるが、本種は葉の縁にギザギザがなく滑らかであることで見分けられる。
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