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- 科名・属名 : ラン科 オニノヤガラ属
- 特徴 :
草丈10〜17cmの菌従属栄養植物(腐生ラン)、多年草。
塊茎は紡錘〜円柱状で斜上し、長さ2〜6cm、径3〜10mm。黄褐色で表面には単細胞の毛が密生する。
花茎は直立し、円柱形で2.5〜4mm。
花は花茎の先に1〜4個つき、筒状でやや上向きか下向きに咲き、長さ18〜21mm、径6〜8mm。淡褐色で表面には多くの白いいぼ状の点がある。
萼片と花弁は4/5程度まで合着してつき、先は浅く5裂する。背萼片と側萼片は卵状三角形で鈍頭、長さ幅とも約5mm、側萼片は鋭頭。側花弁は卵形で長さ約3mm、幅約2.5mm。唇弁は長さ約10mm。蕊柱は円柱状で長さ約10mm、白色。葯は径1〜1.5mm。
花後花茎が伸び、長さ20〜30cmになり、果実(刮ハ)は円柱形で長さ約3cm。
- 分布・生育地 :
沖縄 (国外:日本固有) 常緑広葉樹林下
- 花期 : 3月
- 撮影月日・場所 :
上・全体1 2011年3月11日 沖縄県国頭郡1 中上・全体2 2016年3月16日 同 上2 (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック) 中下・花 同 上2 下・果実(刮ハ) 2019年4月4日 同 上3
- 撮影記 :
東日本大震災の起きた日、本土がそんな酷い状況になっているとはつゆ知らず沖縄に花見に出かけ、この時期の花との出会いを楽しんでいた。
「変わったヤツシロランがある」と教えられた場所に、花茎が長く、花も長い筒形で色の薄い変わった花が咲き始めていた。
近くに背の低く黒っぽいヤツシロランも咲き始めていて、これまた本土で見たハルザキヤツシロランとは異なった花だった。
西表島で見たヤツシロランにも似た感じだったが、当時は春先に咲くのはハルザキしか知られておらず、ラン不明種として記録していた。
2017年4月、神戸大学の末次健司氏がこれら2種を調べ、それぞれ「ツツザキヤツシロラン」、「ヤンバルヤツシロラン」という新種のランとして発表した。
懸案になっていた花がやっと日の目を見て嬉しくなったが、光合成をしない菌従属栄養植物(腐生植物)は、花の時期だけ地上に姿を現し、花が終わると消えてしまうものが多く、撮影した中にもまだ不明種としているものがいくつかある。
ヤツシロランの仲間は、花の時は目立たず、花後伸びた果実(刮ハ)の状態で見つけることが多い。しかし、翌年刮ハを見たあたりを探しても花を見つけられないことが多々あり、まだ新種や日本未記載種の発見があるかもしれないという期待が膨らむ。
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