フユノハナワラビ(冬の花蕨)

Botrychium ternatum var. ternatum


フユノハナワラビ1

  • 科名・属名 : ハナヤスリ科 ハナワラビ属

  • 特徴 :
     草丈15〜50cmの冬緑性シダ。
     根茎は短く直立し、葉を年に1個出す。
     葉は部分2形、栄養葉(担栄養体)の葉身は、3回羽状複生〜4回羽状深裂、広五角形〜広三角形で鋭頭、長さ(5-)6〜11(-13)cm、幅(5-)10〜16(-20)cm。側羽片は三角状広卵形〜広披針形、長さ(3.2-)5.1〜8.2(-11)cm、幅(2.5-)4〜6(-7.5)cm。裂片は広楕円形〜広卵形、鈍頭〜鋭頭、縁はわずかに鈍鋸歯縁。質は草質〜厚い草質、緑色〜暗緑色、無毛。
     葉柄は、共通部分(担葉体)は長さ(1.5-)1.8〜3.1(-4.5)cm。栄養葉の葉柄は(1.5-)5.2〜8.6(-10)cm。  胞子葉(担胞子体)は複穂状になり、胞子嚢穂は、長さ(3-)6.3〜11(-15)cm、幅(1.5-)2.2〜6.1(-11)cm。柄の長さは(6-)15〜22(-24)cm。胞子の表面はやや細かい網目状になる。

  • 分布・生育地 :
     北海道〜九州(種子島まで) (国外:朝鮮、中国、ベトナム、南アジア)
     向陽の山地、原野

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2011年11月17日  鹿児島県鹿児島市
     中・全体2 2006年9月16日  長野県大町市
     (上は拡大写真あり、写真をクリック)
     左下・胞子嚢穂 2011年11月17日  鹿児島県鹿児島市
     右下・栄養葉    同  上

  • 撮影記 :
     冬に緑の葉を広げ、胞子をつける冬緑性のシダで、秋から初冬の日当たりのいい山野で比較的よく見かける。
     同じような場所でオオハナワラビも見かけるが、大きな違いは本種の胞子嚢穂は胞子嚢を散布後枯れるのに対し、オオハナワラビでは胞子の散布後も残っていることである。他にもオオハナワラビの栄養葉の裂片は先が鋭頭になるが、本種では比較的鈍頭のものが多いという違いもある。
     花が少なくなり始める頃、普段気にしなかったシダが目につきだし、シダの多い暗く湿った林下でなく明るい場所で見られるので、シダに興味のなかった時代にも撮影していた。

  • 栄養葉

    その他のシダ
フユノハナワラビ2

胞子嚢穂