オオハナワラビ(大花蕨)

Botrychium japonicum var. japonicum


オオハナワラビ1


  • 科名・属名 : ハナヤスリ科 ハナワラビ属

  • 特徴 :
     草丈30〜40cmの冬緑性シダ。
     根茎は短く、直立する。
     葉は年に1回出て部分二形。栄養葉は3回羽状複生〜4回羽状深裂、葉身は広五角形〜広三角形で鋭頭、長さ(8-)12〜18(-21)cm、幅(10-)18〜26(-35)cm。側羽片は三角形〜広披針形、長さ(5.5-)8.2〜12(-14)cm、幅(4.3-)7.9〜12(-15)cm。最終裂片は狭楕円形、鋭頭〜やや鋭尖頭、辺縁は不規則な鋭鋸歯縁。質は厚い草質、淡緑色で冬期は葉縁もしくは全体が赤褐色を帯びる。
     胞子葉は複穂状、長さ(6.3-)11〜15(-17)cm、幅(1.5-)2.2〜3.6(-5.5)cmと栄養葉より長い。
     葉柄は共通柄部分で長さ(3.2-)〜5.4〜7.4(-8.6)cm、白色の毛が多い。栄養葉の葉柄で、長さ(5.5-)9.1〜14(-19)cm、胞子葉の葉柄で、長さ(16-)19〜25(-29)cm。
     胞子嚢穂は胞子葉の全長の2/5程度、円錐花序的に胞子嚢をつける。胞子の表面には微細な突起が大きな網目を作り、胞子葉は胞子散布後も残る。

  • 分布・生育地 :
     本州(東北地方中部以南)〜九州(屋久島まで) (国外:朝鮮、中国)
     山地林下のやや湿った所

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2009年11月3日  東京都八王子市1
     中上・全体2 2022年10月11日    同  上2
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中中・胞子嚢穂 2007年11月4日  静岡県下田市
     中下・胞子嚢 2022年10月11日  東京都八王子市2
     下・栄養葉 2007年11月4日  静岡県下田市

  • 撮影記 :
     秋から冬にかけ、最後に咲くキク科の花を求めて関東の低山地を歩くと、沢沿いの林下などでこのシダによく出会う。
     地表近くに横に広がる栄養葉の中央から長い胞子葉を出し、円錐花序的に円い胞子を短い枝に直接つける。なかなか格好のいいシダだと思う。
     よく似たフユノハナワラビは栄養葉の羽片の先が円頭になることが多く、鋭頭になる本種との違いである。また、本種の胞子葉は胞子を飛ばした後でも残っているが、フユノハナワラビでは胞子散布後は脱落する。

  • その他のシダ
オオハナワラビ2

胞子葉

胞子嚢

栄養葉