クサマルハチ(草丸八)

Cyathea hancockii


クサマルハチ1


  • 科名・属名 : ヘゴ科 ヘゴ属

  • 特徴 :
     草丈1〜3mの常緑性シダ。
     根茎は短く匍匐し、直立から斜上、幹は発達しない。
     葉は2回羽状複生〜3回羽状深裂で、葉身は三角状卵形〜三角状長楕円形、基部が最も幅広く、長さ(38-)44〜57(-66)cm、幅(18-)28〜42(-52)cm、葉軸は茶褐色。側羽片は(26-)28〜31(-32)対あり、長楕円状披針形で有柄、長さ(8-)13〜20(-28)cm、幅(2-)4〜7(-11)cm。小羽片は長さ(1.1-)2.1〜3.6(-5.2)cm、幅(0.5-)0.7〜1.2(-1.6)cm。裂片の先は円頭または鈍頭、鋸歯縁。質は紙質で淡緑色、鱗片は基部で袋状で淡褐色、先は剛毛状で茶褐色、毛は羽軸、小羽軸の表側(向軸側)にあり、褐色。
     葉柄は長さ(24-)36〜57(-71)cm、赤褐色〜紫褐色。鱗片は披針形で先は尾状に伸び、褐色で、長さ(0.4-)0.6〜0.9(-1.4)cm。
     基部の鱗片は褐色で光沢があり、長さ約1.5cm、幅約1.5mm。
     胞子嚢群は裂片の中肋から辺縁の中間〜やや辺縁寄りに並び、円形で、径(0.9-)1(-1.1)mm。包膜はない。

  • 分布・生育地 :
     本州(紀伊半島南部)、四国(南部)、九州(南部)〜沖縄 (国外:台湾、中国)
     山地林下

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2013年2月8日  高知県安芸郡
     中上・全体2 2016年12月24日  鹿児島県奄美大島
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中下・胞子嚢群1 2013年2月8日  高知県安芸郡
     左下・胞子嚢群2 2016年12月24日  鹿児島県奄美大島
     右下・葉柄基部 2013年2月8日  高知県安芸郡

  • 撮影記 :
     初めて沖縄の湿った林下でこのシダに出会った時は、ヘゴの仲間であるという感じはしたが、自信を持って同定できなかった。
     というのも、以前小笠原で見たマルハチは、幹に逆八の字の葉痕が残るのが和名の由来になっていたため、クサマルハチもそれとどこか似た模様があるのだと思っていたためだった。
     図鑑で調べると、幹を作らないのがこのシダの特徴であることがわかり、同じ年、高知県の自生地で確認でき、沖縄で見たものも同じものだとわかった。
     高知県には天然記念物に指定されている自生地があるほか何ヶ所かに自生地が知られていて、安芸郡のその自生地は住宅地にほど近い林下に群生していた。

  • 葉柄基部

    その他のシダ
クサマルハチ2

胞子嚢群1

胞子嚢群2