ミヤマワラビ(深山蕨)

Thelypteris phegopteris


ミヤマワラビ1


  • 科名・属名 : ヒメシダ科 ヒメシダ属

  • 特徴 :
     草丈20〜50cmの夏緑性シダ。
     根茎は長く横走し、鱗片をつける。
     葉は2回羽状深裂〜全裂、葉身は三角形〜三角状長楕円形で鋭尖頭、長さ(7.5-)9.5〜13(-17)cm、幅(5.3-)7.4〜11(-14)cm。側羽片は狭卵状披針形〜狭長楕円状披針形、(9-)12〜15(-16)対、長さ(3.3-)4〜5.4(-6.8)cm、幅(1-)1.2〜1.5(-1.8)cm、最下の裂片は基部が中軸に流れ翼になる。。小羽片は長楕円形〜三角状、長さ(0.3-)0.4〜0.5(-0.6)cm、幅(0.2-)0.3(-0.4)cm、先は鈍頭、縁は全縁〜波状縁、両面とも有毛。質は草質〜柔らかい紙質で、淡緑色。
     葉柄は淡緑色で基部は褐色を帯び、長さ(10-)14〜20(-25)cm。鱗片は基部に多く、卵状披針形〜長楕円状披針形で黄褐色、長さ(2.7-)3.7〜4.6(-5.3)mm。毛は全体にやや密にあり、半透明で1〜2細胞。
     胞子嚢群は裂片の辺縁近くにつき、円形で径(0.6-)0.7〜0.9(-1)mm、包膜はない。胞子嚢には毛があり、表面は網状の模様があり、黄褐色。

  • 分布・生育地 :
     北海道〜本州(広島県以東)、四国、九州(大分県、屋久島) (国外:朝鮮、中国、台湾、ロシア、南アジア、ヨーロッパ、北アメリカ(北部))
     夏緑林の林床

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2007年6月16日  長野県上高地
     中上・全体2 2007年9月1日  長野県八ヶ岳
    (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中下・葉(表) 2019年7月26日  群馬県尾瀬
     左下・胞子嚢群 2008年7月20日  長野県志賀高原
     右上・基部鱗片 2019年7月26日  群馬県尾瀬
     右下・葉(中)軸    同  上

  • 撮影記 :
     北海道〜九州(屋久島)まで広く分布し、北海道〜本州(中部地方以北)ではよく見られるが、それより南では山地に限られるので、やや北方系の分布といえる。
     夏、高山植物を求めてアルプス山麓の林下を歩いていると、登山道際でよく見かける。最下羽片がそれだけ下向きに斜めに延びるのが印象的である。
     また、羽片基部が中軸に流れて翼状になり、こういう特徴を持つシダは他にゲジゲジシダがあるが、葉身の形が三角状長楕円形で、基部が最も幅広く、すぐに違いが認識できる。

  • 葉柄基部鱗片

    葉(中)軸

    その他のシダ
ミヤマワラビ2

葉(表)

胞子嚢群