ハコネシダ(箱根羊歯)

Adiantum monochlamys


ハコネシダ1


  • 科名・属名 : イノモトソウ科 ホウライシダ属

  • 特徴 :
     草丈20〜40cmの常緑性シダ。
     根茎は短く、匍匐〜斜上し、密に鱗片をつける。
     葉は3回羽状複生、葉身は三角状卵形で先は円頭、長さ(14-)17〜22(-26)cm、幅(4-)5.5〜7.5(-11)cm。側羽片は卵形〜狭卵形、(8-)9〜11(-13)対、長さ(4-)5〜6.3(-7.5)cm、幅(2-)2.4〜3.4(-4.2)cm。少羽片は、長さ(0.7-)1.1〜1.5(-1.8)cm、幅(0.6-)0.7〜1(-1.5)cm、基部はくさび形で、先は円頭(胞子嚢群のつく小羽片は凹頭)、前側は不規則な鋸歯縁、基部側は全縁。質は硬い紙質で淡黄緑色。
     葉柄は光沢ある紫褐色〜赤褐色で、長さ(7-)11〜15(-21)cm。鱗片は基部のみあり、線状披針形〜線形、黒褐色、長さ(1.4-)1.8〜2.5(-3.1)mm。
     胞子嚢群は各裂片の辺縁、偽包膜の裏側に1個つき、凹んだ円形で、反転する辺縁は長楕円形、径(1.4-)2〜2.6(-3.8)mm。包膜はないが偽包膜がある。

  • 分布・生育地 :
     本州〜九州(最南部を除く) (国外:世界各地の暖地)
     やや乾いた林内の岩上、地上

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2008年12月29日  静岡県浜松市
     中上・全体2 2013年7月26日  神奈川県丹沢
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中下・胞子嚢群1 2008年12月29日  静岡県浜松市
     下・胞子嚢群2 2013年7月26日  神奈川県丹沢

  • 撮影記 :
     同じような形をして岩場に着くホウライシダによく似ているが、このシダは小葉の形が倒三角状卵形で質は硬く(ホウライは扇形で草質〜膜質)、胞子嚢群も1個しかつかない(ホウライは各裂片につく)。
     また、ホウライシダがやや水気のある崖地などに多いのに対し、このシダはやや乾いた林下の岩場でよく見られる。
     アジアンタム(Adiantum)の仲間は美しい形状をしているためよく栽培されるが、山中の崖で風に揺れる姿の方が似つかわしい。

  • その他のシダ
ハコネシダ2

胞子嚢1

胞子嚢群2