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- 科名・属名 : イノモトソウ科 タキミシダ属
- 特徴 :
草丈10〜30cmの常緑性シダ。
根茎は短く、匍匐または斜上し、葉を叢生する。
葉は単葉、葉身は狭倒卵形〜楕円形、長さ(6.2)9.3〜15(-22)cm、幅(14-)2.4〜3.4(-5.2)cm。幅は上から1/5くらいの所が最も広く、先は急に幅が狭くなってやや尾状鈍形になる。下部は狭いくさび形になる。質は革質で緑色。,br>
葉柄は緑色で葉身と連続的であるが、はっきりした葉柄がある。鱗片は基部のみにあり、披針形〜線形、暗褐色で格子状となり、長さ(1.9-)3.6〜5.6(-6.6)mm。、辺縁は全縁であるが膜ができ、中肋ははっきりしない。
胞子嚢群は線形で浅い溝の中に埋まってつき、線形で脈に沿って時々網目を作るが、葉縁に近い部分にはつかない。包膜はない。
- 分布・生育地 :
本州(富山、千葉県以西)〜九州(屋久島まで) (国外:中国、台湾、半島〜南アジア) 山地林下のやや陰湿な沢沿いの岩上
- 撮影月日・場所 :
上・全体1 2010年5月4日 静岡県浜松市 中上・全体2 以下全て 同 上 (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
- 撮影記 :
どの図鑑や解説を読んでも個体数が極めて少なく、しかも見つかると採取されてしまうので、観察できる機会は少ない種であると記されている。
したがって、見る機会があるとすれば、人がほとんど入り込まないような山奥の沢、しかも沢の水量も少なく藪も歩きやすい冬期に探すしかないのかと思っていた。
ある年の春、同行の花仲間に案内されて着いた静岡県の西部の自生地は、「エッ!こんな所に」と思うような場所だった。
林道脇の湿った岩壁や、道を横切る小沢の岩上などに点々とこのシダが生えている光景は驚き以外の何物でもなかった。
線形の胞子嚢群のついた葉もいくつか見つかり、以前に南西諸島で見ていたシマタキミシダと違い、はっきりした葉柄があることが確認できた。
こんな観察地がいつまでもそのままで、いつきてもこのシダが見られることを願って帰途に着いた。
その他のシダ
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