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- 科名・属名 : イノモトソウ科 タキミシダ属
- 特徴 :
草丈10〜20cmの常緑性シダ。
根茎は短く、匍匐または斜上して葉を叢生する。
葉身は倒卵形〜楕円形で、長さ5〜10cm、幅4〜8cm。幅は上から1/5くらいの所が最も広く、先は鈍形からよく発達したものでは鋭形になる。下部は狭いくさび形になるが、5〜10cmのはっきりした葉柄がある。葉柄は葉身と同長かより長く、基部に鱗片がある。辺縁は全縁であるが膜ができ、中肋ははっきりせず、葉脈は密に網目を作る。
胞子嚢群は線形で浅い溝に埋まってつき、脈に沿って網目を作るが、葉縁に近い部分にはつかない。
- 分布・生育地 :
本州(富山、千葉県以西)〜九州 (国外:台湾、中国〜インドシナ、マレーシア) 山地林下のやや陰湿な沢沿いの岩上
- 撮影月日・場所 :
上・全体1 2010年5月4日 静岡県浜松市 中・全体2、下・胞子嚢群 同 上 (上、中は拡大写真あり、写真をクリック)
- 撮影記 :
どの図鑑や解説を読んでも個体数が極めて少なく、しかも見つかると採取されてしまうので、観察できる機会は少ない種であると記されている。
したがって、見る機会があるとすれば、人がほとんど入り込まないような山奥の沢、しかも沢の水量も少なく藪も歩きやすい冬期に探すしかないのかと思っていた。
ある年の春、同行の花仲間に案内されて着いた静岡県の西部の自生地は、「エッ!こんな所に」と思うような場所だった。
林道脇の湿った岩壁や、道を横切る小沢の岩上などに点々とこのシダが生えている光景は驚き以外の何物でもなかった。
線形の胞子嚢群のついた葉もいくつか見つかり、以前に南西諸島で見ていたシマタキミシダと違い、はっきりした葉柄があることが確認できた。
こんな観察地がいつまでもそのままで、いつきてもこのシダが見られることを願って帰途に着いた。
その他のシダ
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