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- 科名・属名 : イワデンダ科 キンモウワラビ属
注.APG分類では、キンモウワラビ科(HYPODEMATIACEAE)
- 特徴 :
長さ20〜80cmの夏緑性シダ。
根茎は短く横走し、葉をやや相接してつけ、密に鱗片がある。
葉は3回羽状中裂〜複生、葉身は三角状広卵形〜五角形、長さ(12-)15〜26(-41)cm、幅(9.2-)13〜20(-26)cm。先は鈍頭、質は草質で鮮緑色。側羽片は最下羽片が三角形、それより上は三角状披針形、長さ(5.2-)6.8〜13(-22)cm、幅(3.6-)4.6〜7.7(-11)cm。小羽片は(0.9-)1.1〜1.7(-2.2)cm、幅(0.6-)0.7〜1.1(-1.6)cm。最終裂片は長楕円形で斜めに密に相重なるようにつき、鈍頭で歯牙で終わり、縁は粗い鋸歯縁。全体に長さ2mm程度のやや半透明の短い毛と腺毛がある。
葉柄は淡緑色、長さ(5.8-)8.2〜25(-52)cm。基部のみ密に鱗片があり、鱗片は披針形で黄褐色、長さ(5.5-)6.6〜8.9(-11)mm、縁には不規則な毛状突起がある。
胞子嚢群は中肋寄りにつき、歪んだ円形で長さ(0.8-)0.9〜1.1(-1.2)mm。包膜は歪んだ円腎形で密に毛がある。
これまでキンモウワラビ属はイワデンダ科とされていたが、その後オシダ科とされ、最新のAPG分類ではキンモウワラビ科とされている。
- 分布・生育地 :
本州(中国地方)、四国(愛媛、高知県)、九州(熊本県) (国外:朝鮮、中国、タイ) 石灰岩の隙間
- 撮影月日・場所 :
上・全体1 2015年8月30日 広島県帝釈峡 中・全体2、下・胞子嚢群 同 上 (上、中は拡大写真あり、写真をクリック)
- 撮影記 :
石灰岩の岩壁、基部から急な傾斜で岩屑が谷間に向かって落ち込み、踏み出す度に足元が沈み込むように崩れる。
2週間ほど前、甑島の100mを越える切り立った岩場の上から足を踏み外した(ロープで確保していたので怪我は無かったが)その後遺症か、以前なら平気で歩けた斜面が足がすくむ。
這うように進み岩場の基部に取り付くと、石灰岩の岩の隙間にこのシダが垂れ下がっていた。
ケ(毛)とつくように全体に毛が多く、写真でも中軸や羽軸に毛が密生していることがよくわかる。
キンモウワラビに似ているが、腺毛があることや鱗片の長さが短いことが相違点とされる。
日本では中国地方、四国、九州の石灰岩地で稀に見られ、この写真も基準産地となっている広島県の帝釈峡で撮影した。
その他のシダ
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