カニクサ(蟹草)

Lygodium japonicum var. japonica


カニクサ1(胞子嚢なし)


  • 科名・属名 : カニクサ科 カニクサ属
     注.APG分類では、ナガバカニクサ(var. microstachyum)と分けているが、「日本産シダ植物標準図鑑T」(学研刊)では同一種としている。

  • 特徴 :
     長さ2mになるつる性の夏緑性〜常緑性シダ。
     根茎はやや長く匍匐し、径2〜3mmで黒褐色の毛を密生する。
     葉は4回羽状複生(羽片は最初の1対だけを展開し、休止芽をつくる)、葉身は無限成長するため不定形。小羽片(2次羽片)は狭三角形、長さ(4.8-)6.4〜9.2(-12)cm、幅(3.4-)4.3〜6.8(-8.8)cm。3次小羽片は三角状〜円形、下部の羽片は掌状に5〜7裂し、中央の裂片が長い。胞子嚢をつけない葉では、長さ(2.9-)3.7〜6.7(-11)cm、幅(1.6-)1.9〜4.6(-8.8)、胞子嚢をつける葉で、長さ(1.8-)2.4〜4.1(-6.2)cm、幅(1.1-)1.4〜3(-4.8)cm、先端は鋭頭で、縁は波状縁〜鋸歯縁。質は薄い紙質で暗黄緑色、軸上、脈上に半透明の毛があり、表側(向軸側)に多い。
     胞子嚢は小裂片の辺縁に突出してつき、長さ(1.2-)1.8〜2.8(-3.6)mm、幅(0.9-)1.1〜1.2(-1.3)mm。偽包膜は辺縁に毛がある。

  • 分布・生育地 :
     本州(福島・新潟県以南)〜九州(屋久島・種子島まで) (国外:朝鮮、中国、東南〜南アジア。北米に帰化)
     山麓、原野、林縁

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2022年11月3日  神奈川県川崎市
     中上・全体2、以下(右下・茎基部除く)   同  上
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     右下・茎基部 2022年10月27日  静岡県伊豆市

  • 撮影記 :
     人家近くの林縁や道端でよく見られるシダであるが、つる状になって伸びるのでシダとは思わない方も多い。
     私も、シダらしくないうえごく普通種であることで見過ごしていて、しっかり撮影したのは大分後になってしまった。
     しかし、よく観察すると胞子嚢群は面白いつき方をしていて見飽きなかった。
     なお、南西諸島(屋久島・種子島を除く)に分布するものはナガバカニクサ(var. microstachyum)としたが、同一種として分けない考え方もある。

  • 茎基部

    その他のシダ
カニクサ2(胞子嚢あり)

葉表1(胞子嚢なし)

葉表2(胞子嚢あり)

胞子嚢