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- 科名・属名 : カニクサ科 カニクサ属
- 特徴 :
長さ数mになるツル性の常緑性シダ。
根茎はやや長く匍匐し、黒褐色の毛が密生する。
葉は3回羽状複生でつる状に無制限に伸び、数mの高さにまでなることもある。
中軸から分枝する枝は1対の羽片をつけ、それぞれの羽片は5〜10cm離れて着く。羽片は数対の小羽片をつけ、小羽片は長楕円形〜三角状長楕円形、長さ(4.7)6.5〜9(-10)cm、幅(3-)3.2〜4.7(-6.8)cm、先端に向け次第に狭まり、基部は切形かやや心形で、有柄。2次小羽片は胞子嚢濃をつけないもので、長さ(1.2-)2〜3(-3.9)cm、幅(0.7-)1.1〜2.6(-3.4)、先は鈍頭〜鋭頭、辺縁は波状縁〜欠刻縁。胞子嚢をつける2次小羽片は、長さ(1-)1.7〜2.3(-3)cm、幅(0.7-)1.7〜3.1(-4.4)cm。質は薄い紙質で黄緑色、無毛。葉軸は黄緑色〜赤褐色。
胞子嚢をつける裂片は辺縁に長さ(2.-)2.5〜4.6(-8)mm、幅(0.8-)1〜1.3(-1.4)mmの小裂片を突出させ、2列に並んで胞子嚢をつける。胞子嚢は偽包膜に覆われ、無毛で辺縁に鋸歯がある。
- 分布・生育地 :
沖縄(石垣、西表島) (国外:中国、台湾、東南〜南アジア、オーストラリア、南太平洋、アフリカ、帰化で北アメリカ) 日当りのいい原野、林縁
- 撮影月日・場所 :
上・全体 2005年6月11日 沖縄県西表島 中上・全体2 2012年6月10日 同 上 (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック) 中下・葉(表)、下・胞子嚢群 同 上
- 撮影記 :
シダについて教えられる時、このシダが入っているカニクサ属は、何mにも伸びることがある植物体全体が1枚の葉で、見た目1枚の葉のようなものは葉の一部だと聞かされびっくりする。
その中でもイリオモテシャミセンヅル(西表三味線蔓)という面白い和名のついたこのシダは、名前の通り西表島のある八重山列島にだけ分布している。
西表島では決して珍しいシダではなく、道端や明るい林縁などで他の植物に覆いかぶさるように葉を広げている。
ただし、若い葉は三角状長楕円形で、長さ5cmを超える小羽片をつけることがあり、ナガバカニクサとよく似ていていて間違えやすいが、本種は単羽状に分岐するので注意してみればわかる。
このシダは利尿剤や虫刺されの民間薬として用いられることがあるらしい。
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