キヨスミコケシノブ(清澄苔忍)

Hymenophyllum oligosorum


キヨスミコケシノブ1


  • 科名・属名 : コケシノブ科 コケシノブ属

  • 特徴 :
     匍匐し、しばしばマット状になる常緑性シダ。
     根茎は径0.2〜0.3(-0.4)mmで長く匍匐、不規則に分枝し、褐色の根を下方に、0.5〜2cmの間隔で葉を上に向かってつける。若い茎には褐色の毛があるが、早落性。
     葉は2回羽状深裂〜3回羽状深裂、葉身は卵状長楕円形〜長楕円形で先は鈍頭〜鋭頭、長さ(1.7-)1.9〜3.2(-5.1)cm、幅(0.8-)1〜1.5(-1.9)cm。側羽片は(4-)5〜7(-9)対あり、三角状卵形〜卵状長楕円形、長さ(0.2-)0.5〜0.7(-0.9)cm、幅(0.1)0.3〜0.5(-0.6)cm。最終裂片は長さ(0.7-)0.9〜1,1(-1.4)mm、円頭〜鈍頭で、縁は全縁。暗黄緑色で古くなると褐色になる。
     葉柄は暗褐色、長さ(0.5-)0.7〜1.2(-1.5)cm。上部のみ翼がある。葉柄、葉軸の裏面(背軸側)に褐色の多細胞毛がある。
     胞子嚢群は裂片の先端につき、卵状長楕円形。包膜は2弁状で基部まで裂け、唇部は全縁〜波状縁で、長さ(1.2-)1.4〜1.7(-2.1)mm、幅(1.1-)1.2〜1.5(-1.7)mm。胞子嚢床は根棒状で包膜より長く伸びない。

  • 分布・生育地 :
     本州(関東地方以西)〜九州(屋久島まで) (国外:中国、台湾)
     樹幹上、稀に岩上

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2022年10月22日  神奈川県南足柄市
     中上・全体2、以下全て    同  上
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     大木の樹幹に生えることが多く、よく似たコウヤコケシノブにはよく出会ったものの、このシダには中々出会えずにいた。
     違いはコウヤコケシノブの裂片の先が不規則な鋸歯縁になるのに対し、本種では全縁になることで、樹幹についたシダの裂片を見てもいつもコウヤだった。
     このシダの記録がある神奈川県西部の寺、取り巻く林下にはシダ類が多く何度か出かけたが、見つけられずに今度は違う場所を探すことにした。
     あちこち探し1m近くもある大木の目線より少し高い位置に着いていたシダ、ひょっとしてとルーペで除くと裂片に突起がない、やっと出会えじっくり時間をかけて撮影したが、胞子嚢群の付いている株はわずかだった。

  • その他のシダ
キヨスミコケシノブ2

葉(表裂片)

胞子嚢群1

胞子嚢群2