ヒロハアツイタ(広葉厚板)

Elaphoglossum tosaense


ヒロハアツイタ

  • 科名・属名 : オシダ科 アツイタ属

  • 特徴 :
     草丈15〜25cmの着生の常緑性シダ。
     根茎は短く匍匐し、背側に葉を2列やや密につけ、披針形の鱗片がある。
     葉は単葉で2形、栄養葉の葉身は狭楕円形〜長楕円形、長さ(5.9-)9.6〜15(-19)cm、幅(2.4-)2.8〜3.5(-4.4)cm。先は鈍頭〜鋭頭、基部は狭いくさび形で葉柄にわずかに流れ、辺縁はほぼ全縁で、幅0.5〜1mmの半透明の膜がある。質はやや厚い革質、緑色でやや光沢があり、裏面に疎らに星状の鱗片がある。
     胞子葉の葉身は狭楕円形、長さ(4.6-)6.6〜9.7(-12)cm、幅(1.4-)1.8〜2.4(-2.9)cm。
     葉柄は淡緑色で最基部は褐色、長さは栄養葉では(4-)5.7〜8(9.3-)cm、胞子葉では長さ(5.8-)8.8〜12(-15)cmと葉身と同程度かやや長い。鱗片は全体に疎らにつき早落性、黄褐色〜褐色、長楕円状披針形〜披針形で鋭尖頭、縁には不規則な突起縁があり、長さ(2.9-)3.7〜5(-8.2)mm。
     胞子嚢群は胞子葉の裏面全体に広がり、側糸はない。

  • 分布・生育地 :
     本州(伊豆半島・静岡県、紀伊半島)、四国(徳島、高知県)、九州(宮崎県、屋久島) (国外:日本固有)
     深山の陰湿な樹幹、岩上に着生。

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体 2014年1月22日  徳島県
     (上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中・葉、以下全て    同  上

  • 撮影記 :
     この仲間は日本に3種知られているが、いずれも深山の樹幹や岩上に着生する珍しいシダである。
     本土で見られるのは2種で、その一つアツイタによく似ているが、葉はやや円みがあり、縁に半透明の薄い膜があることなどが違いである。
     このシダは徳島県の深山の湿度の高い渓谷の岩上、コケシノブ属のシダに混じって生えているのを写したが、近くの樹幹にはアツイタも着生していて楽しい場所だった。
     しかし、胞子は2形となる胞子葉の裏面にべったりつくようであるが、アツイタも含めどちらの胞子葉も目にしていない。
     胞子葉を見たくて時期を変えて訪れているが出会ていない。早く見たいものだ。

  • その他のシダ
葉

葉縁