クマワラビ(熊蕨)

Dryopteris lacera


クマワラビ1

  • 科名・属名 : オシダ科 オシダ属

  • 特徴 :
     草丈40〜80cmの常緑性シダ。
     根茎は太くて短く、直立して葉を叢生する。
     葉身は2回羽状複生、楕円形〜長楕円形、長さ30〜60cm、幅20〜30cm。羽片は部分的に2形、下部の羽片は3〜10対あり、胞子嚢をつけず、最下部に近い羽片はやや短くなる。羽片裂片は披針形〜長楕円状披針形、幅5〜8mm、先は鋭頭〜鋭尖頭、基部の両側は耳状に膨れ、縁には小さな鋸歯がある。表面の葉脈は窪んで溝になる。上部の羽片はやや短く、一面に胞子嚢群をつけ、胞子を散布した後は枯れる。葉柄は短く、葉身の半分以下で長さ25cm以下で密に鱗片をつける。鱗片は卵状長楕円形〜線状披針形、大きいものでは長さ2cmになり、膜質、褐色〜赤褐色で葉柄の上部や中軸のものは濃色になる。
     上部の羽片につく胞子嚢群は、包膜は円腎形で全縁。

  • 分布・生育地 :
     北海道(奥尻島)〜九州 (国外:朝鮮)
     山地林下、林縁、道端

  • 撮影月日・場所 :
     2007年5月19日  東京都高尾山
     中上 2011年10月25日  東京都稲城市
     (上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中下・胞子嚢群、下左・葉表    同  上
     下左・葉柄鱗片 2015年4月3日 東京都八王子市

  • 撮影記 :
     シダの中では割合に普通な種でクマ(熊)の和名がつけられているが、熊のいるような深山ではなく低山地や丘陵の林縁や道端などでよく見られる。
     和名の由来は自生地ではなく、葉柄基部の密につく鱗片の様子を熊に例えたらしい。
     よく似た仲間にオクマワラビというのがあり、初心者には見分けにくいが、本種は葉先の胞子嚢がつく部分が胞子を飛ばした後枯れ落ちるのが特徴で、中・上下の写真でも葉先がそろそろ横変し枯れる直前である。
     他にも、このシダの葉柄基部の鱗片は明るい褐色(オクマは暗褐色)であること、羽片の先が尖っている(同鈍頭)こと、葉表の葉脈の窪みが激しい(同あまり窪まない)など、相違点はいくつかあるのでそのいくつかがチェックできれば同定できる。

  • 葉柄基部鱗片

    その他のシダ
クマワラビ2

胞子嚢群

葉表