ツヤナシイノデ(艶無猪の手)

Polystichum ovatopaleaceum var. ovatopaleaceum


ツヤナシイノデ1

  • 科名・属名 : オシダ科 イノデ属

  • 特徴 :
     草丈60〜90cmの夏緑性シダ(暖地では常緑性)。
     根茎は短く、斜上〜直立する。
     葉は2回羽状複生、葉身は卵状狭楕円形、長さ(47-)51〜59(-69)cm、幅(19-)20〜22cm。側羽片は長楕円状披針形〜長楕円状狭披針形、上向き第1小はわずかに大きく、長さ(5.3-)6.7〜8.9(-10)cm、幅(1.1-)1.8〜2.4(-2.6)cm。小羽片は三角状長楕円形、基部前側の耳片が発達し、長さ(0.6-)0.7〜0.9(-1)cm、幅(0.4-)0.5〜0.6cm。最終裂片は鋭尖頭で芒状、浅い鋭鋸歯縁で先端は芒状。
     葉柄は淡緑色で長さ(21-)24〜26(-28)cm。鱗片は全体に密につき、葉柄基部では淡褐色で卵形〜長楕円状披針形、長さ(17-)18〜21(-23)mm、幅(4.8-)7.9〜12(-13)mmと大きく、縁は突起縁。葉柄の中・上部や中軸にも卵形〜広披針形で先端は急に狭くなって尾状になる淡褐色の鱗片が密生し、長さ5〜8mmと大きく、上向きか斜め外向きにつく。
     胞子嚢群は葉身の先端側から、小羽片の先端付近からつき、中肋と辺縁の中間〜やや中肋寄りにつき、円形で1〜1.1mm、包膜は円形で盾着、全縁〜波状縁で灰白色。

  • 分布・生育地 :
     本州〜九州 (国外:朝鮮、中国(安徽省))
     低地林の林床

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2020年8月7日  山梨県南都留郡
     中上・全体2 2013年5月16日  東京都高尾山
     (上、中上拡大写真あり、写真をクリック)
     中下・下部羽片 2020年8月7日  山梨県南都留郡
     左下・胞子嚢群 2013年5月16日  東京都高尾山
     右上・葉柄基部鱗片 2020年8月7日  山梨県南都留郡
     右下・葉柄中部鱗片 2010年11月28日  東京都高尾山

  • 撮影記 :
     ツヤナシ(艶無)の和名がつけられているように、葉面のツヤ(艶)がなく、中軸の鱗片が丸くて大きいという特徴がある。
     この特徴はサカゲイノデと似ているが、中軸の鱗片がサカゲは下向きに圧着するのに対し、本種では斜め上向きか横向きにつくので見分けられる。
     ただ、イノデの仲間は雑種を作りやすく、この写真も雑種の可能性がないわけではない。
     シダに詳しい仲間は基本種の特徴が頭に入っていて、鱗片や胞子嚢群を見てすぐに雑種を見分けるられるが、すこしでもその域に近づきたいと思うが難しい。

  • 葉柄基部鱗片

    葉柄上部鱗片

    その他のシダ
ツヤナシイノデ2

下部羽片

胞子嚢群