キクシノブ(菊忍)

Humata repens


キクシノブ1

  • 科名・属名 : シノブ科 キクシノブ属
     注.キクシノブ属ではなくシノブ属(Davallia)の考え方有り

  • 特徴 :
     草丈10〜20cmの常緑性シダ。着生。
     根茎は長く匍匐し、径(1.5-)1.7〜2.1(-2.4)mm。褐色の鱗片を密につける。
     葉は1回羽状全裂〜2回羽状深裂、葉身は三角状卵形〜五角形状、長さ(5.5-)6.7〜9.2(-12)cm、幅(3.2-)4.2〜5.7(-6.3)cm。側羽片は三角状長楕円形で最下羽片が最も大きく、長さ(2.1-)2.6〜3.6(-4.5)cm、幅(0.9-)1.3〜1.9(-2.1)cm、上部のものは長楕円形。先は円頭〜鈍頭、縁は全縁〜鋸歯縁。質は革質、緑色〜淡緑色、ほぼ無毛。
     葉柄は淡緑色、長さ(4.3-)6.4〜9.9(-14)cm。基部にはやや密に鱗片があり、それより上ではごく少なく、卵状披針形で中心部は赤褐色〜褐色、周辺部は淡褐色、縁には不規則な鋸歯がある。
     胞子嚢群は裂片の辺縁に着き、ほぼ円形で径(0.7-)0.9〜1.0(-1.1)mm、包膜もほぼ円形。

  • 分布・生育地 :
     本州(紀伊半島)、四国(徳島、高知県)、九州(宮崎、鹿児島県)、沖縄 (国外:台湾、中国、東南〜南アジア、マダガスカルなどアフリカ大陸を除く旧世界の熱帯域
     川沿いの樹幹、岩上に着生

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2017年5月19日  鹿児島県屋久島
     中上・全体2、以下全て    同  上
     (上は拡大写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     鹿児島県屋久島は世界自然遺産に登録された自然豊かな島だが、シダ類の多いことでも知られている。
     多くの初めてのシダに出会ったが、このシダには縁がなかった。
     ある年、水辺の植物を探して大岩を越えて沢近くまで下りて探していると、沢沿いの岩上の根元にこのシダが沢山着生していた。
     こんな所で出会えるとはと大喜びし、花の撮影そっちのけで撮影した。
     沖縄(奄美大島以南)に分布するシマキクシノブとは、葉身が1回羽状全裂〜2回羽状深裂(最下片)や、胞子をつける葉はつけない葉と同形、最下羽片の第一小羽片が外先に出る傾向がある点などが異なる。

  • 葉柄基部鱗片

    その他のシダ
キクシノブ2

胞子嚢群1

胞子嚢群2