ヒメサジラン(姫匙蘭)

Loxogramme grammitoides


ヒメサジラン1


  • 科名・属名 : ウラボシ科 サジラン属

  • 特徴 :
     草丈4〜12cmの常緑性シダ。
     根茎はやや長く横走し、径(0.5-)0.6〜0.8(-1)mm。鱗片はやや密につき、早落性、狭披針形で褐色(格子状)、長さ(1.8-)2.7〜3.4(-4)mm。
     葉は単葉、葉身は狭倒卵形〜倒卵形、長さ(2.7-)5.6〜8.3(-12)cm、幅は先端に近い所が最大で、長さ(0.6-)0.7〜1(-1.2)cm。先は鈍頭〜鋭頭、基部に向かって次第に狭くなり全縁、中肋は上面にわずかに隆起する。質は柔らかくて革質、表面は緑色〜暗緑色で無毛。
     葉柄は葉身基部が葉柄上部に流れて翼になり、葉柄との境は不明瞭、基部まで淡緑色。鱗片は最基部で密にあり、狭披針形で褐色(格子状)、縁は全縁。
     胞子嚢群は先端側からつき、葉の上半部だけに限られ、中肋寄りにつき、中肋と約25どの角度で斜上するが、幅の狭い葉では中肋にほぼ平行してほぼ中肋近くにつき、長楕円形〜線形、長さ(2-)3.6〜6.1(-8.3)mm。

  • 分布・生育地 :
     北海道(日高地方)〜九州(屋久島まで) (国外:朝鮮(済州島)、中国、台湾、インド(北東部)
     深山の林下の湿った岩上

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2011年1月3日  静岡県浜松市
     中上・全体2、以下全て    同  上
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     正月の奥深い山の沢沿い、スギランの着生を撮影にきたが、望遠レンズを使ってもフィルムではきれいに撮れそうもない高さだった。
     この時期、常緑のシダを除き撮影できる花はない。あきらめて帰途についた。
     斜面に張り付くような段々畑の間の狭い道、何気なく見ていたらサジランのようなシダが目に入り、車を止めて近寄って見た。
     サジランやイワヤナギシダに比べ葉身が短く、胞子嚢群も先端の方にしか着いていない。すぐにこのシダと気がつき喜んだ。
     図鑑によると、北海道や東北地方では稀で、関東地方西部から屋久島にかけての深山岩上のコケの中に生えるが、やや珍しい種のようである。

  • その他のシダ
ヒメサジラン2

葉(表)

胞子嚢群