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- 科名・属名 : ウラボシ科 エゾデンダ属
- 特徴 :
草丈40〜70cmの冬緑性シダ。着生。
根茎は長く横走し、青緑色でやや粉白を帯び、径(2.9-)3.6〜4.5(-5.2)mm。早落性の鱗片がを疎にあり、卵状披針形で褐色、長さ(0.9-)3.6〜4.5(-5.2)mm。
葉は1回羽状深裂、葉身は三角状狭長楕円形〜狭長楕円形、長さ(22-)28〜39(-48)cm、幅(7.6-)11〜14(-18)cm。側裂片は(17-)22〜29(-35)対あり、水平に開出するが最下側羽片は下向きにつき、長楕円状披針形〜長楕円状狭披針形で基部が最も広く、長さ(2.2-)4.2〜6.2(-7.1)cm、幅(0.5-)0.7〜1(-1.4)cm、先は鋭頭、全縁。質はやや厚い草質で、鮮緑色、短い短毛が裏面にごく疎らにあり、中軸と中肋の裏面には短毛がある。
葉柄は長さ(11-)13〜17(-21)cm、淡緑色〜淡褐色で多少光沢があり、無毛。鱗片はほとんどない。
胞子嚢群は葉身、裂片の頂点側からつき、裂片の中肋沿いの両側の網目に各1列に並び、円形、径(0.9-)1.3〜1.8(-2.1)mm。
- 分布・生育地 :
九州(屋久島)、沖縄(西表島) (国外:台湾、中国(南部)) 林内のコケの多い樹幹や岩上に着生
- 撮影月日・場所 :
上・全体1 2015年4月12日 鹿児島県屋久島 中上・全体2 2017年5月20日 同 上 (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック) 中中・葉(表) 2015年4月12日 同 上 中下・葉脈、左下・胞子嚢群 同 上 右下・根茎 2017年5月20日 同 上
- 撮影記 :
朝から雨、激しくはないが予報でも一日止みそうにない。一月に35日雨が降ると言われる屋久島、延べで一ヶ月近く訪れているにもかかわらず一日中雨に降られたことは無かった。
どうも今回は晴れ男のツキはないようだ。一昨日訪れた別の島でも一日中霙交じりの雨に祟られた。
こんな日は深い山に分け入ることもできない、何かないかと傘を差しながら浅い林を歩く。
ふと見上げた樹の幹に割合に大きなシダが着生し、垂れ下がっている。幹には特徴である青白い根茎がある、確か日本ではこの島と西表島にだけ分布するとされるシダだ。
雨で上を向いて撮影しづらあいので辺りを探すと、比較的低い場所に着生している株を見つけた。黄色の胞子嚢も綺麗についていた。
本土に生育するアオネカズラによく似ているが、アオネカズラが葉の裏面にやや密に軟毛があるのに対し、本種ではほとんど毛がないのが違いである。
このシダ一つで憂鬱だった気分もすっかり晴れ、何だか得した気持ちになった。

その他のシダ
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