チャボイナモリ(矮鶏稲森)

Oohiorrhiza pumila


チャボイナモリ1


  • 科名・属名 : アカネ科 サツマイナモリ属

  • 特徴 :
     草丈5〜20cmの常緑の多年草。
     茎は細く、直立するか下部が地を這い、あまり枝分かれして斜上し、汚黄色の曲がった短毛が密生する。
     葉は対生、葉身は楕円形〜披針形、長さ2〜7cm、幅1〜2.5cm。先は鋭頭、基部は鋭尖形で狭まって葉柄になる。表面は短い伏毛が散生し、中肋や葉縁にはやや多く、裏面も短伏毛が散生し、脈上には密生する。葉柄は長さ5〜20mm。托葉は合生し三角形で鋭尖頭、長さ1〜2.5mm、早落性。
     花は茎の先に巻散状の集散花序をつくり、1〜11個つける。花柄は長さ0,5〜1.5mm。花序軸や花柄には短毛が密生する。苞や小苞は三角形で、長さ約0.5mm。花冠は白色、漏斗形で長さ3〜5mm、外面に微毛が散生し、内面は喉部に長毛が密生する。裂片は5個、三角形で鋭頭。萼筒は楕円形〜釣鐘形、長さ0.7〜1.2mm、短毛を密生する。萼裂片は5個、三角形で鋭頭、短毛が散生する。雄しべは5個、花糸は花筒と癒合し、長さ3〜3.5mm、葯は長さ1〜1.5mm。花柱は長さ4〜4.5mm、上半部に開出毛が密生する。
     果実(刮ハ)扁平な倒三角形、長さ約3mm、幅約7mm。

  • 分布・生育地 :
     九州(屋久島以南)〜沖縄 (国外:中国(南部)、台湾、ベトナム(北部))
     林下のやや湿った所

  • 花期 :  12〜5月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2006年3月19日  沖縄県石垣島
     中上・全体2 2005年4月21日    同  上
     中下・全体3 2004年3月26日  沖縄県西表島
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     左下・花 1989年5月3日  鹿児島県奄美大島
     右下・葉 2023年7月18日    同  上

  • 撮影記 :
     八重山諸島では山道脇でよく見かける小さな花で、本州に分布するサツマイナモリに比べるとはるかに小さい。
     ある年、前年の台風のせいで木が倒れ、葉が飛んですっかり明るくなった登山道を歩いていると、これまで見たこともないほど勢いがよく多くの花をつけているのに出会った。
     暗い樹林下に生えているので明るいところが嫌いなのかと思っていたが、ある程度の明るさは必要なようだ。
     中下の写真は西表島の山奥のヘゴの樹上に咲いていたもので、地元の方からは本種と教えられたがそれまで見た本種とは大分雰囲気が異なっていた。「琉球植物誌」によれば西表にはサツマイナモリは分布しないので本種ということにした。
     ただ、他で見た花とはとても同じには見えず、かといってナガバイナモリとも葉や植生環境などが違うし、別の種の可能性も考えられる。

  • 葉

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チャボイナモリ2

チャボイナモリ3

花