ホウヨカモメヅル(豊予鴎蔓)

Vincetoxicum hoyoense


ホウヨカモメヅル1


  • 科名・属名 : ガガイモ科 カモメヅル属
     注.APG分類ではキョウチクトウ科(APOCYNACEAE)、(以前であればオオカモメヅル属(Tylophora)とされるところだが、2004年に発表されたため、カモメヅル属(Vincetoxicum)に分類された)

  • 特徴 :
     草丈2mのつる性の多年草。
     普通、茎の上部はつる状になって伸び、若い茎には1または2列の曲がった毛があ離、後無毛。
     葉は対生、主軸につく葉の葉身は楕円形〜長楕円形〜卵形で、長さ9〜14cm、幅5〜8cm。先は鋭尖頭、基部は浅い心形になる。質はやや厚く少し光沢があり、脈は赤味を帯び、有毛。葉柄は長さ1〜2cm、有毛。側枝につく葉は狭卵形〜長楕円形、長さ3〜6cm、幅1〜3cm。先は鋭尖頭、基部は円形〜切形。
     花は葉腋から出る総花柄の先に散状に数個つく。花序軸は長さ2〜6cm、片側だけに毛が生える。花冠は車状で5深裂、暗紫色〜稀に淡黄緑色、径1.8〜2cm。副花冠の裂片は三角状卵形で雄しべの半分の長さ。
     果実(袋果)は紡錘形、長さ5〜7cm、幅約1cm、無毛。種子は狭い翼があり、長さ7〜9mm。

  • 分布・生育地 :
     四国(愛媛・高知県)〜九州(大分・宮崎県) (国外:日本固有)
     海岸の岩場、海岸林の林縁

  • 花期 :  6〜7月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2010年6月12日 大分県佐伯市
     中・全体2、以下全て    同  上
     (上、中は拡大写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     この辺りにあるのはクロバナイヨカズラと聞いていたが、海岸近くの岩場や林下に生えていたこの花は、花は確かに暗紫色で葉にやや光沢があるものの、つる状に伸びた姿や葉の形もイヨカズラとは感じが違っていた。
     それに、クロバナというぐらいなら、近くにイヨカズラがあってもおかしくないのに、イヨカズラを見かけることはなかった。
     帰ってネットで調べると、2004年にイズカモメヅルと同時に発表されたこの花が見つかった。
     特徴は、両種とも海岸の岩場や林縁に生え、本種の方が葉が大きく、葉腋につく花の数が複数で、花も大きいことが違いらしいが、まさにその通りの花であった。
     分布は豊予海峡を挟む、四国の高知、愛媛、九州の大分、宮崎県らしい。
     日本の植生は細かく調べ上げられているが、近年になっても新しい種が見つけられるのは驚きだ。

  • 葉

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ホウヨカモメヅル2

花