クサタチバナ(草橘)

Cynanchum acuminatum


クサタチバナ1


  • 科名・属名 : ガガイモ科 カモメヅル属
     注.APG分類では、キョウチクトウ科(APOCYNACEAE)、カモメヅル属(Vincetoxicum)、学名(V. acuminatum)

  • 特徴 :
     草丈30〜60cmの多年草。
     茎は直立し分枝しない。
     葉は対生、葉身は卵形〜長楕円形、長さ5〜13cm、幅3〜6cm。先は鋭く尖り、基部は尖るかやや円みを帯びる。両面の脈上に微毛がある。葉柄は5〜16mm。
     花は茎の上部の長い柄の先に集まってつく。花柄は1〜3cm。花冠は5裂し、白色で径約2cm、裂片は長楕円形で先は円い。萼は5深裂し、広披針形、長さ約2mm。
     果実(袋果)広披針形で長さ4〜6cm、無毛。種子は広卵形でやや広い翼があり、長さ約7mm。

  • 分布・生育地 :
     本州(福島県南部以西)〜九州  (国外:朝鮮、中国(東北〜東部))
     山地の草地や乾いた林内

  • 花期 :   6〜7月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 1994年6月4日  山梨県櫛形山
     中上・全体2 2016年6月11日  山梨県三つ峠
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中下・花、右下・葉 1994年6月4日  山梨県櫛形山
     左下・果実(袋果) 2015年8月24日  群馬県前橋市

  • 撮影記 :
     花がミカンの仲間の橘に似ていることからこの和名が付けられている。
     色々な花が咲く櫛形山は、かってはホテイアツモリソウで有名であったが、最近はほとんど絶滅に近い。
     まだ、どこかにあるかもと訪れた山中で、この花だけは昔と変わらず咲いていた。

     最近訪れた山梨県の三つ峠、久し振りの訪問だったがこの花があちこちで見られ、こんなに多かったかなと思った時ふと気がついた。
     かってこの山で有名だったアツモリソウも盗掘で激減のうえ、わずかに残った株も鹿に食べられているとのことで保護活動がおこなわれていた。
     見た目は優しそうなこの花、毒があるようで鹿が食べず、この花だけが増えているという事実だった。
     最近、鹿や猪の食害が各地で目立つ。何とかしないと日本の植生が変わってしまいそうだ。

  • 葉

    同じ科の仲間の花
クサタチバナ2

花

果実(袋果)