ツクシトラノオ(筑紫虎の尾)

Pseudolysimachion kiusianum


ツクシトラノオ1


  • 科名・属名 : ゴマノハグサ科 ルリトラノオ属
     注.APG分類ではオオバコ科(PLANTAGINACEAE)、クワガタソウ属(Veronica)、学名(V. ovata subsp. kiusiana var. kiusiana)

  • 特徴 :
     草丈50〜90cmの多年草。
     茎は直立し、短い毛が散生する。
     葉は対生、葉身は卵〜三角状卵形、長さ5〜9.5cm、幅2.5〜6cm。先は尖り、基部は円形〜や心形、縁には短く尖った鋸歯がある。光沢はなく、両面に短毛がある。葉柄は0.5〜3cmで明らか。
     花は茎の先に長い穂状になり密に多数の花をつける。花序軸には長さ1〜1.2mmの縮れた軟毛がある。花柄は長さ2〜4mm、上向きの曲がった短毛が生える。花冠は上部が皿形に開いた唇形で先は4裂し、青紫色、長さ約5mm、筒部は長さ約2mm。雄しべは2個。萼は4深裂し、裂片は卵形で尖り、無毛。
     果実(刮ハ)は球形で先がややへこみ、長さ約4mm。
     別名 ヒロハトラノオ

  • 分布・生育地 :
     九州(熊本・大分・宮崎県) (国外:朝鮮)
     草地

  • 花期 :  8〜9月

  • 撮影月日・場所 :
    上・全体1 2009年8月9日  熊本県阿蘇 
    中・全体2 1994年9月4日    同  上
    (上、中は拡大写真あり、写真をクリック)
    左下・花、右下・葉    同  上

  • 撮影記 :
     九州の草原に咲き、別名ヒロハ(広葉)と名づけられているが、特に葉が大きいわけでもない。
     同じような草原にヤマトラノオもあり、違いは右下の写真でも分かるように本種の葉の基部が円形〜やや心形で、明らかに柄があることである。
     放牧がなくなり草原の手入れをしなくなると、他の草に負けて消えてしまう草原性の植物は、湿地の植物と並んで減少が著しく、この花も絶滅危惧種U類(VU)に指定されている。
     阿蘇の草原でも昔はどこにでもあったというヤツシロソウハナシノブなど、今では野草園でなければ見られなくなった植物は多い。
     最初の出会いから15年後訪れた阿蘇のこの草地には、幸いなことにまだ少なくない数の自生の花が見られた。

  • 葉

    同じ科の仲間の花
ツクシトラノオ2

花