ヒメキセワタ(姫着せ綿)

Lamium tuberiferum


ヒメキセワタ1

  • 科名・属名 : シソ科 オドリコソウ属
     注.APG分類では、ヒメキセワタ属(Matsumurella tuberifera)

  • 特徴 :
     草丈10〜25cmの多年草。
     茎は直立し、やや軟弱で、地下の球茎を伸ばして増える。
     葉は三角形〜菱形広卵形、長さ1〜3.5cm、幅0.7〜3cm。先はやや鈍く、基部は広いくさび形〜切形、縁には4〜7対の鈍い鋸歯があり、両面有毛。葉柄は長さ0.5〜3cm。
     花は上部の葉腋に1〜3個ずつつき、花冠は唇形、淡紅色で長さ1.5〜2cm。外面に粗い毛があり、下唇は大きく開出し、長さ7〜8mm、基部付近中央部に脈にそって紅色斑がある。
     果実(分果)は倒卵状くさび形、長さ約2mm。

  • 分布・生育地 :
     九州(南部)〜沖縄 (国外:台湾、中国(東南部))
     林縁の草地、林下

  • 花期 :   1〜5月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 1994年3月19日  鹿児島県奄美大島
     中上・全体2 2015年4月7日  鹿児島県鹿児島市
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中下・花1 1994年3月19日  鹿児島県奄美大島
     左下・花2 2015年4月7日  鹿児島県鹿児島市
     右下・葉    同  上

  • 撮影記 :
     奄美大島の沢沿い、廃屋の基礎だけが残る湿り気の多い草むらは、絶好のハブの住家に思えた。
     慎重に草を掻き分けヤンバルキヌランを撮影し終え、腰を伸ばし目を向けた林下に白い花が見えた。淡紅色を帯びた白いシソ科の花、本種だと教えられた。
     姫の名にもかかわらず、キセワタとは花の感じも付き方も違う。それもそのはず、キセワタとは属も異なっていた。
     暗い林下で場違いなほど清楚な白は、より印象的に感じられた。
     その後、鹿児島市でも見かけたが、図鑑に記載されている林縁の草地ではなく、いずれも常緑樹の林下だった。

  • 葉

    同じ科の仲間の花
ヒメキセワタ2

花1

花2