タチツボスミレ(立坪菫)

Viola grypoceras


タチツボスミレ1


  • 科名・属名 : スミレ科 スミレ属(タチツボスミレ節)
     注.APG分類では、学名(V. grypoceras var. grypoceras)

  • 特徴 :
     草丈5〜15cmの多年草。
     有茎種。地下茎は横に伸び、短く、わずかに木化する。
     葉は心形〜扁心形、長さ1.5〜2.5cm。先は基部の葉では鈍頭、上部の葉では鋭頭〜鋭尖頭、基部は心形、やや粗い波状の鋸歯がある。両面とも黄緑色で、両面とも無毛かほとんど無毛。葉柄は長さ3〜8cm。托葉は櫛形に深く裂ける。夏季の茎葉は大きくなり、長さ6cmになる。
     花は直径1.5〜2cm、淡紫色が多いが花色の変化が大きい。花柄は根元から出るものと葉腋から出るものがあり、長さ6〜10cm、無毛。花弁は長さ12〜17mm、幅6〜8mmとやや狭く、縁はやや波状で、側弁の基部は無毛。花柱は筒形。距はやや細長く、長さ6〜8mm、紫色を帯びる。萼片は披針形で、先は尾状鋭尖頭、長さ6〜8mm。
     果実(刮ハ)は長楕円形で鋭頭、緑色で、長さ6〜8mm。
     水平的にも垂直的にも分布域が広いため多くの品種があり、
     オトメスミレ(f. purpurellocalcarata)(左中5の写真)
     花が白色で、距に紅紫色が残るもの
     シロバナタチツボスミレ(f. albiflora)(左中6の写真)
     距まで完全に白色になったもの
     サクラタチツボスミレ(f. rosipetala)(左中7の写真)
     花が桃色になったもの
     アカフタチツボスミレ(f. variegata)(左下の写真)
     葉の表面の脈沿いに紅色の斑のはいったもの
     ケタチツボスミレ(f. pubescens)(右中1の写真)
     茎や葉に毛のあるもの。特に花柄の毛が目立つ
     ミドリタチツボスミレ(学名未定)(右中2の写真)
     花弁が緑化したもの。奇形花で品種としての学名はない

  •  ツヤスミレ(f. lucida)(右下の写真)
     海岸型で葉に光沢があり、西日本(海岸〜沖縄)見られ、沖縄に分布するのは全てこのタイプ
  • 分布・生育地 :
     日本全土 (国外:朝鮮(南部)、中国(東部〜西南部)、台湾))
     市街地や山地、向陽地や日陰など、どこでも普通

  • 花期 : 2〜5月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 1985年4月3日  高知県室戸市
     中1・全体2(群生) 1997年4月20日  三重県藤原岳
     (上、中1は拡大写真あり、写真をクリック)
     中2・花 2013年3月12日  鹿児島県奄美大島
     中3・距 2024年4月2日  東京都八王子市
     中4・柱頭    同  上
     中5・シロバナタチ 2000年4月12日  東京都高尾山
     中6・オトメ 1999年4月21日  東京都青梅市
     中7・サクラタチ 1999年4月14日  東京都高尾山
     左下・アカフタチ 1988年4月24日   広島県三原市
     (中5〜左下は詳細写真あり、写真をクリック)
     右上・葉 2014年4月16日  和歌山県新宮市
     右中1・ケタチ 1990年4月26日  北海道函館市
     右中2・ミドリタチ 2007年4月1日  群馬県藤岡市
     右下・ツヤ 2015年3月25日  沖縄県国頭郡
     (右中上、右中下、右下は詳細写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     日本全土の低地から山地まで分布し、どこにでもある一番ポピュラーなスミレである。
     いろいろな環境で生育し、数も多いことから写真のように多くの品種が知られている。

  • 葉

    ケタチツボスミレ

    ミドリタチツボスミレ(仮称)

    ツヤシミレ

    同じ科の仲間の花
タチツボスミレ2

花

距

柱頭

シロバナタチツボスミレ

オトメスミレ

サクラタチツボスミレ

アカフタチツボスミレ