ホソバカンスゲ(細葉寒菅)

Carex temnolepis


ホソバカンスゲ1

  • 科名・属名 : カヤツリグサ科 スゲ属(ヌカスゲ節)

  • 特徴 :
     草丈20〜40cmの多年草。
     根茎は短くて匐枝はなく、葉を密に叢生する。前年の葉の中央に有花茎がつき、基部の鞘は暗赤色〜黒紫色。
     葉は線形、幅3〜6mm。上半部の縁は上向きに、基部近くの縁は下向きにざらつく。
     頂小穂は雄性、長さ2〜4cm。側小穂は雌性、3〜5個あり、短い円柱形で直立する。
     雌鱗片は果胞より短く、果胞の嘴の縁に明らかな刺毛がある。
     以前はカンスゲの変種とされていたが、前年の葉の中央に有花茎がつくこと、葉の幅が3〜6mmと細く、縁が上半部で上向きに、基部で下向きにざらつくこと、果胞の嘴の縁に刺毛があることが異なる。
     オクノカンスゲにも似るが、雌鱗片が果胞よりやや短く、果胞の嘴の縁に刺毛があること、匐枝を出さないことなどが異なる。

  • 分布・生育地 :
     本州(鳥海山、早池峰山、新潟〜兵庫県までの日本海側) (国外:日本固有)
     山地の樹林下の岩場、湿った斜面

  • 果(花)期 :   5〜6月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2019年5月3日  新潟県魚沼市
     中上・全体2 2018年6月8日  新潟県南魚沼市
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中下・雄雌小穂 2019年5月3日  新潟県魚沼市
     左下・雌小穂    同 上
     右上・果胞、雌鱗片 2018年6月8日  新潟県南魚沼市
     右下・茎基部    同  上

  • 撮影記 :
     カンスゲという名のつくスゲの仲間は何種かあり、いつも同定に苦労する。
     日本海側で見つけたこと、茎の基部の色、葉の幅、雌鱗片が果胞より短いことなどから本種と同定したが、葉の縁のざらつきなど十分確認できたていない点もあり、必ずしも十分な自信はない。
     スゲ類はよく似たものが多く、興味のない時代はほとんど同じように見えたが、興味を持って観察し始めると、それぞれに違いが見えてきてなかなか面白い。

  • 茎基部

    同じ科の仲間の花
ホソバカンスゲ2

雄・雌小穂

雌小穂

果胞・雌鱗片