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- 科名・属名 : ラン科 クモキリソウ属
- 特徴 :
草丈15〜30cmの多年草。
偽鱗茎は球状にならず円柱形、前年の茎が枯れずに残る。
葉は2〜3枚根元につき、葉身はゆがんだ広楕円形、長さ5〜12cm、幅2.5〜5cm。先は鋭頭で、葉脈の間が広く、水平に広がる。
花はまばらで総状に5〜10個つき、暗紅紫色〜暗紫色。側萼片は狭長楕円形で鈍頭、長さ5〜6mm。側花弁は倒披針状線形、萼片と同長で鈍頭。唇弁はくさび状倒卵形で萼片と同長、中央が凹んで反曲し、基部の2個の突起は針状で鋭頭。蕊柱は淡緑色でせり出し、長さ約3mm。葯は広卵形で2室、花粉塊は卵形で黄色。
果実(刮ハ)は根棒状紡錘形、柄があって直立し、長さ2〜2.5cm。
- 分布・生育地 :
本州(福島県以南)〜沖縄 (国外:韓国(済州島)、台湾) 暖温帯の常緑樹林下
- 花期 : 6〜7月
- 撮影月日・場所 :
上・全体1 1996年7月20日 千葉県山武郡 中上・全体2(赤軸) 2011年7月14日 高知県安芸郡 (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック) 中中・花序 1986年7月13日 神奈川県横須賀市 中下・花 2019年7月24日 静岡県熱海市 左下・果実(赤軸) 2020年6月23日 宮崎県宮崎市 右下・葉 2019年7月24日 静岡県熱海市
- 撮影記 :
海岸近くの常緑広葉樹林下に多く、杉などの植林下でも咲いている。
同じ仲間のユウコクランやシマササバランとそっくりである。
この花の方が北の寒い地方まで分布しているため、花数が少なく、草丈も小さいと考えられないだろうか。
比較的普通種のランであるが、2011年、小笠原でこのランを見た時、「小笠原植物図譜」にこの花が分布が記されていなかったため、何か知らないランかと思って一杯撮影してしまった。
また、高知県では花軸が赤黒色の花に出会ったが(中上の写真)、関東では緑色の花軸のものしか知らなかっただけにびっくりした。
品種としての記載はないが、地元の方は「クロジクコクラン」と呼んでいた。
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