オニノヤガラ(鬼之矢柄)

Gastrodia elata


オニノヤガラ1


  • 科名・属名 : ラン科 オニノヤガラ属

  • 特徴 :
     草丈40〜100cmの多年草。菌従属栄養植物。
     地下にある塊茎は表面に多数の節があるジャガイモ状に肥厚し、楕円形で長さ約10cm。塊茎の中にナラタケの菌糸がを入れ、その消化吸収から栄養をとり、塊茎は毎年更新される。
     茎は直立し、黄褐色、鱗片葉がまばらにつく。
     鱗片葉は膜質、長さ1〜2cm。
     花は茎頂に長さ10〜30cmの総状花序になり、20〜50個の黄褐色の花をつける。苞は披針形で淡褐色、膜質で長さ7〜12mm、幅約2mm。花は長さ7〜10mm、背と側萼片の3つが合着して壷状になり、基部の下側はやや膨らみ、口部は斜めになって3裂し、裂片の内側に小さな2個の側花弁がある。唇弁は卵状長楕円形、長さ8〜10mm、基部近くで3裂し、中裂片の縁は房状に細裂し、基部の縁は肉質に隆起する。蕊柱は名gさ6殻mm、内面は凹入し、断面は半円形、基部のくぼみに柱頭がある。花粉塊は2個、湾曲する。
     果実(刮ハ)は倒卵状長楕円形、長さ12〜15mm、柄は長さ約5mm前後。
     まれに、全体が緑色になるのものがあり、
     アオテンマ(f. viridis)と呼ばれる品種になっている。
     また、茎は短く、花が帯白色のものは、
     シロテンマ(var. pallens)という変種にされている。

  • 分布・生育地 :
     北海道〜九州 (国外:朝鮮、中国〜ヒマラヤ、台湾)
     亜寒帯〜暖温帯の林下、湿地

  • 花期 :   6〜7月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 1985年7月21日  群馬県尾瀬ヶ原
     中上・全体2 1996年7月6日  福島県南会津郡
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中下・花序 1995年6月10日  東京都八王子市
     左下・花 2023年7月4日  山梨県八ヶ岳山麓
     右下・果実(刮ハ) 2020年8月7日  山梨県富士山麓

  • 撮影記 :
     樹林下や湿地に生えると記されているが、湿地に生えている場面によく出会う。
     ナラタケと共生し、そこから栄養を得る菌従属栄養植物で、比較的見ることが多く、草丈も大きいのでよく目立つ。
     この花は根茎が曲がって膨らむことから、足に例えてヌスビトノアシとの別名もある。
     通常花は黄褐色であるが、まれに白い株や淡緑色の株があり、それぞれシロテンマアオテンマと呼ばれている。

  • 果実(刮ハ) 同じ科の仲間の花
オニノヤガラ2

花序

花