ニッパヤシ(Nypa椰子)

Nypa fruticans


ニッパヤシ1


  • 科名・属名 : ヤシ科 ニッパヤシ属

  • 特徴 :
     高さ〜5(〜10)mの常緑低木。
     地上茎は発達せず、太い根茎が2叉分岐して地表を這い、扇状に葉を束生する。
     葉は2回羽状複葉で、葉身は60対程度の多数の小葉からなる。小葉は線形〜線状披針形、長さ約1m、幅2〜7cm。葉軸から左右にねじれながら出て、先は鋭尖形、縁は全縁、中央脈が強く浮き出る。質は硬く、裏面に褐色の圧毛がある。葉柄は太く、繊維に覆われない。
     花は雌雄同株。雄花序は根茎から出て高さ約1m、上向きにつき、総状で、瓦重ね状に配列する褐色の多数の仏炎苞に包まれ、多数の側枝があり、多くの花をつける。花弁は3個、で小型。萼片は3個、線形で先の方が幅広く、内側に巻く。雄しべは3個、花糸は合着し、退化子房はない。雌花序は枝先に多くの苞に包まれて多数つき、球形の頭状花序、径約30cm、多くの雌花を密集してつける。雌花は雄花よりはるかに大きく、長さ10〜15mm。萼と花冠は小さくほとんど退化し、子房は扁倒卵形で暗褐色、1心皮からなり、1個の胚がある。
     果実は多数の核果が頭状に集まった頭状の集合果で、径約30cm以上になる。中果皮は繊維質で厚く、各核果には1個の種子がある。

  • 分布・生育地 :
     沖縄(西表島、内離島) (国外:フィリピン〜インド、ミクロネシアなど熱帯アジア)
     マングローブの湿地

  • 花期 :  5〜7月?

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2011年5月23日 沖縄県西表島
     中・全体2、以下全て    同  上
     (上、中は拡大写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     熱帯アジア域に広く分布しているマングローブを構成する樹種であるが、日本では沖縄の西表島と内離島の一部ににしか分布しない希少な種である。
     西表島でもオヒルギヤエヤマヒルギなどはマングローブ林でよく見かけるが、この樹は簡単に見ることはできない。
     生えている大体の場所は分かっていたが簡単に近づけず、ある時潮の引いたのを見計らってマングローブ林内に分け入った。
     泥で沈む足元を気にしながら奥に進むと、根元から扇形に葉を出した特徴ある樹形のこの樹を見つけることができた。
     丁度花も咲いていたが、思ったより大きな樹で、全体を写しこむスペースを見つけるのに苦労した。

  • 葉

    同じ科の仲間の花
ニッパヤシ2

花