ナツノハナワラビ(夏の花蕨)

Botrychium virginanum


ナツノハナワラビ

  • 科名・属名 :
     ハナヤスリ科 ハナワラビ属

  • 特徴 :
     草丈20〜50cmの夏緑性シダ。
     根茎は短く直立し、円柱状で多肉質の根を多数出す。
     葉は年に1回出て、担葉体、栄養葉、胞子葉の部分に分かれる。
     担葉体は多肉質、長さ15〜25cmで葉の高さの半分を超え、基部に開口部がある。
     栄養葉は3〜4回羽状に細裂し、広五角形、長さ5〜28cm、幅7〜30cm。質は薄い草質で淡鮮緑色、羽片は広卵形で基部の小羽片は小さく、大きい小羽片は長楕円形〜卵状披針形。裂片は楕円形〜長楕円形、鋭尖頭で辺縁は深裂〜鋸歯縁。下部小羽片には柄があり、裂片は小羽軸に流れない。
     胞子葉は葉身の基部から出て、長さ20〜50cm。穂は3〜4回羽状に分岐し、卵状三角形、羽片は円錐花序の形となり、長さ10〜20cm。胞子の表面には大きないぼ状の突起がある。柄は長さ10〜30cm。

  • 分布・生育地 :
     北海道〜九州(除く南部) (国外:北半球の温帯〜暖帯、中南米)
     山地の疎林の林下

  • 撮影月日・場所 :
     2009年6月13日  熊本県阿蘇
     (上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中・胞子嚢(穂)、下・栄養葉    同  上

  • 撮影記 :
     阿蘇の特産種を求めて二十年ぶりに分け入った植林地、植林された木が大きくなってすっかり様相が変わり、目的の花は貧弱な株になっていた。
     それでもツクシマムシグサケナシベニバナヤマシャクなどが見つかり、撮影に準備を始めたところ足元にこのシダが生えていた。
     前々からこのシダを見たいと思っていただけに、花の撮影は後回しにして撮影した。
     栄養葉が五角形状になる特徴的な形のシダであるが、よく似たナガホナツノハナワラビは、栄養葉の小羽片は柄があり、胞子葉は2回羽状に分岐するなどの違いがある。

  • その他のシダ
胞子嚢(穂)

葉