ウロコノキシノブ(鱗軒忍)

Lepisorus oligolepidus


ウロコノキシノブ

  • 科名・属名 : ウラボシ科 ノキシノブ属

  • 特徴 :
     草丈10〜15cmの常緑性シダ。着生。
     根茎は太く、短く横走し、線状披針形で黒色〜黒褐色の鱗片を密につける。
     葉身は単葉で狭披針形、長さ5〜15cm、幅2cm。先は鋭尖頭〜やや尾状になり、裏面には宿存性の鱗片がある。葉表の鱗片は線状披針形〜卵状三角形、黒色で長さ約2mm、幅約0.8mm。葉質は革質、多肉。葉柄は長さ3cm以下、緑色〜わら色で基部は褐色を帯びる。
     胞子嚢群は葉身の上半部、中肋と葉縁の中間かやや中肋寄りにつき、長楕円形で長さ5mm程度になることもある。

  • 分布・生育地 :
     本州(南アルプスの標高500〜1000m) (国外:中国中部〜インド)
     山中の岩上、樹幹

  • 撮影月日・場所 :
     2009年8月15日  長野県(南部)
     (上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中・胞子嚢群、下・葉裏の鱗片    同  上

  • 撮影記 :
     田舎の花仲間とこのシダの記録のある長野県南部に出かけた。
     絶滅危惧種のTA類に指定されているシダ、沢や沢沿いの岩上や樹幹を丹念に探して歩いたが見つからなかった。
     あきらめて戻る途中、谷側にかかる橋の上でそれらしきシダを見つけた。
     まさかこんな所にと思って見ると、橋に沿って走る太い水道管のせいで、漏れた水や周りが冷やされて橋桁にコケが生え、その中にこのシダが生えていたのだ。
     大喜びしさらに探すと数株見つかり、ノキシノブとの雑種らしき株も見つかった。
     葉の両面に「黒いオタマジャクシ」と称された宿存性の鱗片があり、間違いないと確信できるとともにその様子は何とも面白かった。
     ただ、残念だったのは、沢の縁に生えた枯木にビッシリと生えていたシダ、少し近づき難く遠目でホテイシダと判断しパスしたが、後で考えるとどうもこのシダだったようだ。
     しかし、それよりももっと口惜しいのは、1年もしないうちにこれらの全てが盗られてなくなってしまったことだ。業者による盗掘と思われるが、嘆かわしい限りだ。

  • その他のシダ
胞子嚢群

葉裏の鱗片