ウロコノキシノブ(鱗軒忍)

Lepisorus oligolepidus


ウロコノキシノブ1

  • 科名・属名 : ウラボシ科 ノキシノブ属

  • 特徴 :
     草丈10〜15cmの常緑性シダ。着生。
     根茎は太く、短く横走し、径(2.2-)2.8〜3.5(-3.9)mm。鱗片は密につき、線状披針形、黒色〜黒褐色で辺縁は透明、長さ(1.6-)2〜2.7(-3.6)7mm。
     葉は単葉、葉身は卵状披針形〜卵状狭披針形、長さ(6.7-)8.4〜14(-19)cm、幅(1.1-)1.4〜2.3(-3.4)cm。先は鋭尖頭〜鋭尖頭で縁は全縁。両面に宿存性の鱗片が疎らにあり、卵状披針形〜卵状三角形、縁は小突起縁〜ほぼ全縁、黒褐色、長さ約2mm、幅約0.8mm。質は革質で多肉、緑色。
     葉柄は長さ(0.5-)0.9〜3.7(-7.2)cm、淡緑色〜紫褐色で基部は褐色を帯び、葉身基部が葉柄に流れ翼となるが、境界は不明瞭。鱗片は最基部で密、それ以外では疎ら、披針形で、黒色〜黒褐色、縁は小突起縁。無毛。
     胞子嚢群は葉身の先端側からついて上半部のみにあり、中肋と葉縁の中間かやや中肋寄りに1列に並び、円形〜楕円形、長さ(2-)2.6〜4(-4.9)mm。

  • 分布・生育地 :
     本州(長野県南部の標高500〜1000m) (国外:中国)
     山中の岩上、樹幹

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2009年8月15日  長野県(南部)
     (上は拡大写真あり、写真をクリック)
     中上・全体2、以下全て    同  上

  • 撮影記 :
     田舎の花仲間とこのシダの記録のある長野県南部に出かけた。
     絶滅危惧種のTA類に指定されているシダ、沢や沢沿いの岩上や樹幹を丹念に探して歩いたが見つからなかった。
     あきらめて戻る途中、谷側にかかる橋の上でそれらしきシダを見つけた。
     まさかこんな所にと思って見ると、橋に沿って走る太い水道管のせいで、漏れた水や周りが冷やされて橋桁にコケが生え、その中にこのシダが生えていたのだ。
     大喜びしさらに探すと数株見つかり、ノキシノブとの雑種イナノキシノブと思しき株も見つかった。
     葉の両面に「黒いオタマジャクシ」と称された宿存性の鱗片があり、間違いないと確信できるとともにその様子は何とも面白かった。
     ただ、残念だったのは、沢の縁に生えた枯木にビッシリと生えていたシダ、少し近づき難く遠目でホテイシダと判断しパスしたが、後で考えるとどうもこのシダだったようだ。
     しかし、それよりももっと口惜しいのは、1年もしないうちにこれらの全てが盗られてなくなってしまったことだ。業者による盗掘と思われるが、嘆かわしい限りだ。

  • その他のシダ
ウロコノキシノブ2 葉(表)

葉(裏)

胞子嚢群