トクノシマエビネ(徳之島海老根)

Calanthe tokunosimensis


トクノシマエビネ1

  • 科名・属名 : ラン科 エビネ属
     注.APGV分類ではエビネと同一種とし、学名(C. discolor)

  • 特徴 :
     草丈30〜60cmの多年草。
     葉は2〜3個つき、立性で越年しても横伏しないことが多く、葉身は倒卵状楕円形で長さ(柄も含み)30〜40cm、幅8〜10cmで葉柄が長い。やや肉厚で、裏面には短毛がある。
     花は茎頂に総状に10〜25個つき、斜上気味に咲く。萼片と側花弁が紫褐色〜緑褐色、唇弁が白色のものが基本であるが、花の色は変化が多い。
     エビネによく似ているが、全体に大型、葉が立性、花が相対的に大きい、唇弁の裂片は比較的幅が狭い、縦の隆起線が目立たず、蕊柱は発達し、芳香があることが異なるとされる。
     APGV分類では、沖縄島に分布するカツウダケエビネとともに、エビネと同一種として整理されている。

  • 分布・生育地 :
     九州(鹿児島県徳之島) (国外:日本固有)
     常緑広葉樹林下

  • 花期 :   3月

  • 撮影月日・場所 :
     上・全体1 2005年3月12日  鹿児島県徳之島
     中上・全体2、以下全て    同  上
     (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     足を踏み入れた林内は、重なり合った岩上に木が生い繁り、岩の隙間には地元の人も恐れる「ハブ(クロハブ)」が潜んでいるような雰囲気だった。
     暖かいはずの南の島にもかかわらず、寒波の襲来でミゾレ交じりの雨が降り、吐く息も白く見える悪天候だった。
     こんな寒い日にはハブも出てこないだろうと入った林下で、期待通り咲き初めのこの花が出迎えてくれた。
     花茎を上げているのは本種で、葉だけの株はオナガエビネだろう。花ごとに花色が異なるところはエビネと同様でひとつずつチェックして歩いた。
     雨の中暗い林下は風も強く、1枚でもまともに写っているようにと願いながらシャッターを押した。
     ただ、特徴欄にも記したように、APGV分類に基づく改訂新版「日本の野生植物1」(平凡社刊)では、本種やカツウダケエビネもエビネと同一種という整理がされている。

  • 葉

    同じ科の仲間の花
トクノシマエビネ2

花1

花2